被災地のニーズに対応すべきだ | 辻川泰史オフィシャルブログ「毎日が一期一会」Powered by Ameba

被災地のニーズに対応すべきだ

被災者には高齢者が多い。避難所生活では、十分な体調管理が難しい。特に要介護の高齢者は専門職のケアが必要だ。


被災地から離れた介護施設が受け入れを始めた。この活動を支えたい。


避難所になっている体育館に、要介護の高齢者を受け入れるため迎えに行った福島市の老人保健施設関係者は驚いた。


介護施設からの避難者が多くいた。付き添いの施設職員は疲れ切っていた。脱水を防ぐ点滴液もなく救急車を待っていたという。


避難所生活では水や食料が不十分だ。寒さも加わり健康状態が悪化する。


被災地の介護施設も、避難所にいる要介護高齢者を受け入れているが限度がある。避難生活の長期化を考えれば、被災地以外で介護福祉士など専門職のケアを受けられる疎開先が必要だ。


全国老人保健施設協会は厚生労働省と連携し、全国の老人保健施設への収容と、被災地への専門職派遣を始めた。


受け入れ表明施設は千を超え、収容可能人数は約四千五百人になる。派遣できる専門職は数百人集まった。


特別養護老人ホームやグループホームの事業者団体も受け入れ態勢を整えている。この動きを広めたい。


ただ、縁もゆかりもない土地に移ることには抵抗があるだろう。遠方では家族は訪ねにくい。利用者の細かいニーズに最大限配慮して、収容施設を決めてほしい。


国の支援は欠かせない。厚労省は、協会に対し要介護認定を受けていない高齢者の受け入れも認めた。避難所にいる高齢者が介護サービスを受けても介護保険が適用される。保険の自己負担分の減免や、保険料支払い猶予なども決めた。当然の措置だ。


千葉県鴨川市の亀田総合病院が、被災した福島県いわき市の老人保健施設「小名浜ときわ苑(えん)」の入所者と職員を一括して受け入れた。近くの宿泊施設「かんぽの宿鴨川」に収容しケアを続ける。


市はときわ苑の介護サービスが継続されているとみなし、介護保険の費用負担や苑への介護報酬はこれまで通りとした。


一緒に暮らしている人たちが共に過ごせることは心強い。苑も報酬が得られ運営を続けやすい。いわき市では既に十を超える介護施設が市外に丸ごと移った。


被災地では観光客も減る。今後、利用客減で空いた宿泊施設の利用ができないか。国や自治体は調整役となり、柔軟に被災地のニーズに対応すべきだ。


中日新聞より