ダン・ブラウン「ロスト・シンボル上」から | さかえの読書日記

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琴線に触れたことを残す備忘録です。

「カリフォルニアの純粋知性科学研究所や、プリンストン大学工学部特異現象研究所などの施設で行われた実験では、人間の思考をしかるべく集中させると、実在の物質に影響を与えることが立証された。それらの実験では、〝スプーン曲げ″の座興のたぐいではなく、厳正な管理のもとで施行された調査であり、そのどれもが同じく驚くべき結果を示した。われわれの思考は物質世界と影響しあっており、自覚の有無にかかわらず、原子未満の領域にまで変化を及ぼしている。」

 

「2001年9月11日の恐ろしい事件の直後の数時間で、純粋知性科学の分野は大きな発展をとげた。恐怖に包まれた世界が結びつき、この惨劇への強い悲しみを共有したとき、世界各地にある37のランダム事象発生装置が、突如として明らかに規則性のある――ランダムではない――出力を始めたことを、四人の科学者が発見した。同じ経験を通じて一体となった何千万、何億もの精神が融合したことが何らかの形で装置のランダム事象発生機能に影響を及ぼし、出力内容に規則性を与えて、混沌に秩序をもたらしたらしかった。」

 

「その衝撃的な発見は、〝宇宙の意識″の存在を認める古代の霊的信仰――人間の意識は巨大な融合体をつくっていて、物質と影響しあう力をもつという考え方――と通じる印象を与えた。最近の研究では、集団での瞑想や祈りもランダム事象発生装置に同様の結果をもたらすことが判明しており、それが純粋知性科学のジャーナリストであるリン・マクタガートの言う〝人間の意識は肉体という軛の外にある″という説を裏づけている。高度に組織されたエネルギー体であり、物質世界を変容しうるということだ。キャサリンはマクダガートの著書『意思のサイエンス』と、人間の意思が世界に及ぼす力を解明すべく著者がインターネットのサイトを通じて行っている世界規模の研究に感銘を受けた。」