「法服の王国」から | さかえの読書日記

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琴線に触れたことを残す備忘録です。

「最高裁判事は15人しかいないけれど、上告されてくる事件は、年間で三千件くらいある。それぞれの事件には相当な量の事件記録がついていて、ロッカー一つでも足りないものはざらにあるから、これを15人で裁くのは到底不可能である。そこで調査官制度というのがあって、調査官が最初に事件記録を読んで、だいたいこういう方向でいくべきではないかという判断をして、最高裁判事に報告するシステムになっている。」


「現在30人いる調査官は、いずれも裁判官経験10年以上の者で、民亊、行政、刑事の三つの調査官室に分かれて仕事をしている。各室には、裁判官暦20年以上の上席調査官がおり、全体を裁判官暦30年以上で、高裁長官クラスの主席調査官が統括している。主席調査官は、最高裁判事の椅子がほぼ約束されている超エリートである。調査官は、個々の事件の記録を精査し、論点を整理して最高裁判事に報告するほか、合議にオブザーバーとして加わり、多くの事件に関して判決の起案をする。また、最高裁が出した重要な判決について「法曹時報」に解説を書くのも仕事である。ある意味で、最高裁を動かしているのは調査官たちであるともいわれる。」


 このような話を聞いたことがある。