椿姫のショパンの曲が体から抜けないまま、マルグリットとアルマンの哀しい別れがまだまだ胸をよぎるまま、、

一昨日、Kバレエ、15周年記念、「ラ・バヤデール」千秋楽公演を観に行ってきました。



バヤデール、今回、初めて生で観ました。

これが古典バレエであることを忘れそうになるほど、濃厚な人間ドラマでした。

そして、熊川さんの、作品への、ソロルやブロンズアイドルへの、''思い''を、痛いほど感じた夜でした。






勇壮な戦士ソロル。
戦士たるや、心身共に強いはず、それなのになぜ別の女性ににわかに惹かれ、結婚までしようとするのか。
なぜ、一瞬でも、真実の愛を見失い、権力と美と金に目をくらませるの。。
これまでいまいち分からなかった。

どんな過去が、弱みが、はたまた野望があって?
それとも、もともとニキヤとは真実の愛ではなかった?
なんて、DVDなど映像を見て、考え過ぎていた。


でも、熊川さんや荒井さん、白石さんが舞台に立って、役になられているのを見て、

ああ、理由なんてない。

わけもなく、ニキヤとは違う魅力のある、若くて美しい、権力者の娘に人間ソロルは引き込まれたのだ、と妙に納得。物語は一気にリアルになりました。


例えば、熊川ソロルが初めて白石ガムザッティに出会い、それはそれは長く長く見つめ合わせるシーン。
憂いを込めて踊るニキヤに対し、キラキラ溌剌と踊るガムザッティ。
男性なら、目移りするのかもしれない。






二人がソロルを巡って言い争う場面では、
荒井ニキヤはガムザッティの、ソロルに釣り合った地位や家柄が羨ましかっただろうし、
白石ガムザッティはニキヤへ向けられた本当の愛が欲しかっただろうし、

二人の女性を見て、(同じ女性として)どちらも哀れ、どちらにも味方したい思いでした。






また、物語とは裏腹に、軽快で楽しい音楽に合わせた、チェスや太鼓の踊りは、熊川さんらしい演出だな、と楽しく拝見しました。






影の王国では、本当に美しくて、バレエのどの作品のどの場面より美しいのでは、と思うほどで、本当に24人のニキヤの影であるかのように、24人のダンサー達の動きが一体化していました。



コールドの哲学を観た気がします。
涙が込み上げるくらいでした。

監督にしごかれたんだろうなー(笑)







そして、ブロンズ・アイドル。
通常、寺院崩壊前に登場したりするけど、熊川版では、天変地異の後、雲間に光が出て、崩壊の後の再建を象徴するように登場!



若手ダンサーの池本さん、本当に良かった!
長い足が綺麗に伸びる、キレる、高く舞う。
熊川さんのブロンズ・アイドルを映像で初めてみた時を思い出したり。。






この日の哲也さんは、連日のダンサー業、演出・振付業、監督業に、少し疲れが出たのか、正直、私が知っている、熊川さんではありませんでした。

ジャンプも回転も、技術は精彩を欠いていました。きっと、ご本人が一番不本意かもしれません。

が、演技と存在感は誰より濃厚。
誰よりも拍手喝采を受けていました。

終わらないカーテンコールでは、熊川さんがひとりで登場。
右手を額に、左手を胸に当てて忠誠を誓うようなソロルのポーズでいつものように観客を喜ばせました。






この日、ガムザッティの白石さん、苦行僧の井澤さん、ブロンズ・アイドルの池本さんらの若手、また、太鼓の踊りの吉田さんが元気で、目を奪われました。
また、荒井さんも、やはり別格で、引き込まれました。







熊川さん、Kバレエの皆さん、こんなに連日、連昼、連夜の公演、お疲れさまでした…!