何から、何処まで、書き残しておけば良いか…分からない。
くらい、久し振りに深い感動のなか…。



連休の真ん中、土曜昼、パリ・オペラ座バレエの「椿姫」を観てきました。



まだ20代の頃、ガラ公演で三幕の黒のシーンを観て、これもバレエなんだ、こんな作品もあるんだ、と衝撃。

私の中でバレエの可能性が広がった、と言うか、ハッピーエンドや、fairy-taleや、美しく哀しい神話のような作品ばかりがバレエじゃないんだ、と、目の当たりにした思い。

いつか必ず全幕を生で観たいと思っていた、あれから8年。。。(笑)

パリ・オペラ座が来日すると言うことで、3組の主役キャストのうち、私はオーレリー・デュポンの椿姫を選びました。
彼女の最後の、しかも日本でのマルグリット。




オーレリー、期待通り、見事でした。

私のマルグリットのイメージそのもの。
カーテンコールでは泣いていたかな?

そして、アルマン役のエルヴェ・モローも、繊細で内向的、だけど内に激しさを秘めた良家の青年、アルマンそのものでした。

今回、私はエルヴェがかなり大好きになっちゃったかも(笑)
踊っていなくてもほんとに美しすぎるふたり。



1幕。アルマンを確実にリードし、優位に立ち、真っ赤な唇と魅力的な瞳は、アルマンを少し弄ぶように微笑みます。
女優みたい。

DVDでのアニエスはエレガントで、私としては少しインテリが漂いすぎる印象。
マルグリットの肩書きにやや似つかわしくないというか。
そういう意味で、デュポンは完璧に私を説得…一気に物語をリアルにしました。





優位なんだけど、アルマンと初めて二人きりになって、咳込むマルグリットを慈しむように優しく包み込むアルマンに、一瞬少女みたいな目になるのが印象的。
「何、この感じ。」と、マルグリットは自覚する。





そして始まる最初のパ・ド・ドゥ。
ふたりの距離感、関係性を象徴するようなポーズの振り。
マルグリットはまだアルマンに全てを向かい合っていない、というか。






2幕、白のシーン。
ピアノの高音を連打する音が、キラキラ輝く夏の陽の光りを感じます。



マルグリットたちは重厚な舞踏会のドレスを脱ぎ、ナチュラルでピュアな、白の軽快なサマードレスへ。

作中、最も幸せなシーン。



マルグリットはもはや優位ではない。



1幕、アルマンがマルグリットに膝まづき、頭と両手を床につけ、手のひらを空に向けて懇願するような振り付け、その同じ振りで返すように、マルグリットの心はアルマンの胸のうち。



マルグリットは少女みたいに純粋で壊れ易そうな危うい繊細さを漂わせてアルマンを見つめ、微笑み、1幕での躊躇はもはやなく、その胸に飛び込んでいく。
アルマンは受けとめ、リフトする振りが繰り返されます。




しかし2幕の最後。
マルグリットはアルマンの父から別れるように言われ、マルグリットは別れの手紙を置いて、姿を消します。
アルマンは深く傷つき、気持ちに比例するように激怒して、2幕が終わります。





3幕。
ダンサーたちの衣装はグレーや茶色となって、冬が来たのが分かります。
二人の関係にも、'冬'が来たのだと。

マルグリットとアルマンの二人は、シャンゼリゼで再会する。

マルグリット、オーレリーの、静かな、これまでも、これから起こることをも受け入れるように、まっすぐとアルマンに注がれる視線…

対するアルマン。
この時のエルヴェ・モローの厳しい横顔にグッときてしまった(笑)
本気だったからこその哀しみと怒り。
怒りで哀しみを押し殺そうとしているのか。

そして私がガラで観た、黒のシーン。



アルマンの部屋に、マルグリットが真っ黒のドレスで現れます。

事情は言えないけど、許しを請うような振付で動き出すマルグリット。
1幕のマルグリットとは別人のように憔悴しきって、アルマンと激しく気持ちをぶつけ合う。

ショパンの低音から始まるこの曲を選んだ、振付家ノイマイヤーのセンス。
気持ちが転がるように高まり、そして激しくぶつかり合って愛を交わす、そのさまが、見事にマッチしている。

つけ離したり、絡み合ったりするダンスに二人の激情が見てとれる。
オーレリーとエルヴェの激しいダンスの息遣いが、ダンスのせいではなく、物語の人物として吐かれているようでした。



マルグリットは、アルマンの寝ている間に部屋を後にする。



その後の舞踏会シーン。
アルマンは頬を赤らめ、うつろな目で、酔っている。

彼もまた別人みたいにマルグリットに近寄って乱暴に自虐的に扱う。
そして、不敵な笑みで、封に口づけし「くれてやるよ」と言わんばかりに、お金を渡します。
これまでのマルグリットとの思い出を清算するように。。
ここでのエルヴェの表情、しぐさにも、ぐっと来た私(笑)




さらに場は切り替わり、マルグリットは、ひとり、毎日アルマンへの想いを綴り、そのまま病をこじらせ死に逝く。

オーレリーがアルマンを撫でているかのように、空を丸く描き、舞台前方に視線をやるその目は、いろんな表情があって、、「アルマンに会いたかった」「アルマンが幸せであるように」
観客たちは息をのんだまま終幕…






はぁ・・・・久し振りにずっと記憶に残るであろう舞台でした。

振付、音楽、衣装、美術。。
まだまだ語られるべき要素はたくさんある作品。

生で観れたことに感謝です。
夫に、オペラ座に、、