公衆用という響きから国や自治体が所有している道路
のように思われるかもしれませんが、公衆用道路とは、
不特定多数の人が通行できる私道のことです。分譲住宅
などで公道から各戸に行くのに割と狭い道路があります
よね。これが公衆用道路である場合が多いです(開発分
譲会社が分譲後も道路だけ所有しているケースもありま
す)。この場合、公衆用道路は複数の住宅購入者が共有
しており、経済的価値そのものはほとんどないことが多
いですが、当然、相続財産となります。
これを見落として遺産分割協議をしてしまうと再協議
が必要となるなど後々面倒なことになります。遺産分割
協議の際は、公衆用道路をきちんと確認して見落とさな
いようにすることが大切です。
遺言書を作成する際にも同じようなことが言えます。
公衆用道路を誰にあげるか(宅地・建物とセットで)
書いていないと遺産分割協議の対象になってしまいます
。もっとも「その他一切の財産は妻〇〇に相続させる」
という書き方もありますが、やはりきちんと書いておい
た方がよいでしょう。
では、公衆用道路を見落とさないためには何を確認す
ればよいのでしょうか?
確認すべきものとして、以下のものがあります。
①名寄帳
②公図(地積図ともいいます)
③現地調査
④固定資産税納税通知書
⑤登記簿謄本(共同担保目録付き)
①は、亡くなった方が所有していた不動産の一覧を市区
町村単位で確認できます。ただし、市区町村によっては
、非課税の場合に記載されていないこともあります。
②は、不動産周辺の公図を取ると付近の様子(公衆用道
路っぽい)が分かります。
④は、毎年4月頃市区町村から送られてきます。非課税
の場合、市区町村によっては記載されないこともありま
す。
⑤は、公衆用道路そのものの登記簿謄本が取得できなく
ても、例えば土地登記簿の共同担保目録の欄に「どこそ
この土地の〇〇(亡くなった方)持分」と記載されてい
ることから分かることがあります。金融機関から融資を
受けて自宅を購入する場合、普通は公衆用道路を含めて
担保を付けるからです。
①は市区町村の固定資産税窓口で、⑤は法務局で、②
はどちらでも取得できます。
以上、参考にしてください。