先日ネットニュースを見ていたら、ある大手企業のお世継ぎ問題の裁判の記事が載っていて、今時こんなこともあるんだ…と関心を持って読んでしまった。


その後、自分自身のことがよみがえってきた。


うちは平々凡々な一般家庭で、夫のほうも同じく平凡な一般家庭であり、特に誰かが継がなければならないような家業があったわけでもない。

だけど、亡くなった義父母は息子二人、つまり男子しか育てたことがないのと、やはり古い時代の人達だったので、家というか姓を継ぐのは男子という考えの持ち主だった。


だから私が妊娠した時、面と面向かってハッキリ言われたわけではないが、どこか発する言葉の端々に、「鯉のぼり用意せんといかんか」 だの

「男の子は良いよ」 とかいう言葉がついてきて、かなり鬱陶しかったのを覚えている。



私も夫もどっちが生まれても良いって考えだったけど、その頃の夫の本当の胸の内はわからない。

優しい人なので、本当は男の子がよかったにしても、絶対にそんなことは口にしなかったのだ。


敢えて性別は生まれるまで聞かないことにしていたのだけど、エコー写真を見る限りほぼ女の子だな、と自分でわかった時、正直その時思ったのは、あろうことか


「どうしよう…」


だった凝視


今では考えられないけと、当時はそう思ったのだ。


やはり生まれたのは女の子。


幸い義父母の反応は悪くなく、とても可愛がってくれたので一安心だった。


だけど私は、退院してすぐ、自宅の部屋で夫と二人で長女を抱っこしながら、何故か夫に


「 (男の子じゃなくて) ごめんね…」


と謝ってしまった。


当然夫は全然気にしてないと言ってくれたけど。


あれから月日が経ち、今思うこと。

結局二人目も女の子で娘二人になったのだが、二人とも目立った反抗期もなく成人し、特に長女は逆に親の私達が頼るほどしっかり者で優しい子で、よく義母のお世話もしてくれた。

もちろん今でも頼れる存在だ。

次女は、ちょっと導火線は短めだが、根は優しくやはり面倒見の良い子に育ってくれた。


今ではなくてはならない存在の娘達。

男の子だったとしてもそれはそれで良かっただろうし、女の子であっても何ひとつ不満はない。


なぜあの時、夫に 「ごめんね」 なんて言ったのかショボーン


今思うと、娘達に失礼極まりない一言だった。

はっきり言って後悔でしかない。


ずっと忘れていたことだけど、今回のネットニュースを見て、ふとよみがえった負の記憶…


もう二度と思い出したくない記憶。