東浩紀『クォンタム・ファミリーズ』読んで少しクレイジーな気分 | トムソーヤーに絵本読み聞かせ

東浩紀『クォンタム・ファミリーズ』読んで少しクレイジーな気分

クォンタム・ファミリーズ/東 浩紀

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 東浩紀の『クォンタム・ファミリーズ』読了。

 1971年生まれのこの人は現代思想の論客として有名なのだが、この小説もそんな彼らしい複雑な構成になっている。

 こどもがいない男のもとに、娘からメールが届くというのは、11年前彼が書いた『存在論的、郵便的』から引き継いでいるテーマ。

 若くして天才と騒がれた彼も、アラフォーとなり、中年太り子持ちの貫禄で、家族の小説をリアルに描けるようになったということか?しかし、この小説は、そのリアルであるはずの世界が現実でいられず、非現実のはずの世界が現実そのものとなるような展開を繰り返していく。

 この小説のSF的な世界は、第一部で次のように定義される。


 わたしたちの世界のすぐ隣には、無数の並行世界が開け、そしてわたしたちはネットを通じてそれらの世界と繋がっている。


 若い記者が、赤毛の女科学者に質問する。


 そ、それはこういうことでしょうか。いまのネットは、この世界ではなく、べ、別の世界の、ゆ、夢を見るようになったということでしょうか。


 そして彼女は早口で答えました。
「あなたの質問は正確です。それはまさに夢なのです。わたしたちの量子脳もまた、並行世界からのボーア=ペンローズ干渉がなければ意識を生成できません。わたしたち自身が、並行世界を夢見ることでようやくこの現実を認識する、そのような危うい存在なのです。だから同じように、十分に複雑化し量子化したネットワークも、別の夢を見るようになった。それは自然なことです。そして、現在の量子脳計算機科学が教えるところによれば、その夢からは決して、原理的に醒めることはありません」



 感動するかどうかは別として、おもしろい、よくこんな設定でっちあげられるなと感心しますよ。

 ひさしぶりに『存在論的、郵便的』もひろい読みしてしまいました。



存在論的、郵便的―ジャック・デリダについて/東 浩紀

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