片岡義男『謎の午後を歩く』を片手に冬の散歩(白楽) | トムソーヤーに絵本読み聞かせ

片岡義男『謎の午後を歩く』を片手に冬の散歩(白楽)

謎の午後を歩く/片岡 義男

¥2,310
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 冬の散歩は、謎がいっぱいだ。

 なんでもない、いつもの風景だが、

 冬の乾いて透き通った空気の中で、意味ありげな輪郭が

 いくつも切り出されて、視覚の前に差し出される。



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 片岡義男『謎の午後を歩く』は、

 写真をめぐる謎、視線をめぐる謎を

 考察する数少ない本のひとつだ。



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 たとえば、この本の中で、「影」についての考察がすばらしい。


 季節を問わず僕はピーカンを好む。被写体となる光景は、さまざまな人工物の、合目的的であるはずの集積だ。その集積を作るどのひとつの物体にも、用途としてのかたちがある。そしてかたちには意味としての色が縦横無尽につけてある。この多くの色彩が、太陽からの直接光を受けとめる。どの色も限度いっぱいに浮き立つ。あらゆるかたちの輪郭が鮮明となる。こうした光景を撮るときにも露出は写真機まかせだ。ただし原則として三分の一アンダーに補正している。影の部分は現実よりさらに濃い影となり、影としての意味を深める。


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 「影の部分は現実よりさらに濃い影となり、影としての意味を深める」

 とくに冬の影は、鋭く、濃い影で、物体の輪郭を切り出す。

 「現実よりさらに濃い」

 光と影も、視覚を媒介とする以上、ホンモノらしいフィクションなのだ。



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 もちろん片岡義男さんのような写真を撮れたためしはないので、ペラペラと片岡さんの写真をめくりながら、いろいろと考えるのが好きなのだけど‥


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 鼻やまぶたにピアスし、チェーンをぶらさげる藤原紀香も、影が織りなすフィクション?


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※撮影は、Carl Zeiss PLANAR 50㎜ F1.7