なかなかたのしい快作🎶子どもがいない王様とお姫様、子どもがほしいと願ってみると、やってきたのは…えっ、子ヤギ⁉️
『むかしむかしあるところに子ヤギが』
ダン・リチャーズ:文 エリック・バークレー:絵 小川仁央:訳 評論社(2021年)
昔々あるところに・・・ではじまる昔話風のたのしいおはなし。むかしむかし、ある国に子供をほしいと思っている王様と王妃さまがいた。どんな子でもいい、子供がほしい。そんな切なる願いを叶えるべく匠が・・・いや違った、妖精があらわれる。どんな子供でもいいですと言う二人に妖精は、了解よと安請け合い。満月の夜に玄関を開けてみて、と言い残して去っていく。さてその満月の夜。玄関を開けるとそこにいたのは ──メエエエ、と、えっ?子ヤギ???
赤ちゃんが欲しかったのに~とがっかりな二人。でも追い払うこともできない。しぶしぶその小さなケダモノを家に入れるが、子ヤギはお城の調度品を頭突きでぶっ壊すはバラの花は食べちゃうわ困った子供。バラが好きなんだなと二人は子ヤギをお城の外へ追い出してしまうが、激しい雨に。雨にうちひしがれている子ヤギにさすがに見るに耐えず部屋に入れる。
おなかが空いていたんだね。ほんの少しならごはんを分けてあげてもいいよねと食卓のバラの花瓶がひっくり返されてムシャムシャ食べられても温かく見守る。一晩ぐらい部屋に置いてあげてもいいよね。
でもそれはそのまま一週間になり、一ヶ月になり・・・
たのしい絵本。妖精は実は間違えちゃってたのだけど結果オーライ。間違えてヤギの一家に世話になっていた人間の赤ちゃんも王様夫妻に引き取られ、子ヤギもそのまま。さらにはヤギの一家までお城入り。ヤギだろうと赤ちゃんがかわいい、いとおしい存在となることは必定。一気に子供が増えちゃって、でも王様も王妃さまも嬉しそう。なんとも微笑ましくてたのしい快作。