FB紹介で知った絵本。よく子供教室やワークショップなんかでやっている、ペンキなど使って好きなように思いきり絵であそばせるあれ!ああいうのを具体的になんて言うのか知らないけど(広義的にはアクション・ペインティングか)、あれを絵本として再現したもの。


『こんにちは!わたしのえ』 

はたこうしろう:作  ほるぷ出版(2020年)


女の子が絵筆をもって、真っ白な床のうえにいきなりぐっちょん!と色をおとす。この白い床はこの本のページそのものでもある。そこにいきなり、自由に、大胆に、色をおとす。詩のように並べたはたさんの言葉がいい。


“ずいずい うねっておどる ひかりのつぶ はねてとんで いろがころがる”

“ぐるぐるぐる いろがまわる いろがわらう”


そのうち絵筆すらも手放し、手で、足で、全身で、色とたわむれる。


“ふでになったわたしのては おおよろこび”

“みんな わたしから うまれてくるんだ”


見ていて気持ちがいいというより、自分もやってみたくなる。これは子供に見せたらおそらく読み終わる前に絵の具に向かう。描くこと、色をぬるということは、生きることなのだ。


またこういう子供の無邪気に描いている姿を見ていると、20世紀になって絵描きたちが探求の果てに行き着いた、「なにか」すら描かない抽象絵画というのは、実は子供にとってはごく自然のことなのだと思わされる。なんと言うことか。人類の美術史が数千年かけてたどり着いた絵画の極致は、子どもにとっては教えられずとも自然にできてしまうものだったのだ。


はたさんの“描く”ことへの情熱が伝わってくる。絵の原点を見るような絵本。


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