この表紙絵だけでもわかるだろう、叙情的でなんとも美しい美しい物語。
『月のしずくの子どもたち』
ローラ・クラウス・メルメッド:文 ジム・ラマルシェ:絵 灰島かり:訳 BL出版(2013年)
子供のいない、くたびれた老夫婦はある月の晩、雨のしずくから小さな小さな12人の赤ちゃんを拾いあげる。それから大切に育てはじめる夫婦は子供ができたことで表情もあかるくなり、生き生きとしてくる。火事やイタチによる危機も乗り越えたある晩、ふたりの元に一人のフードをかぶった男があらわれ──
昔話のような幻想的なものがたりは実際にあるおはなしではなく、多くの昔話を研究してきた作者L.K.メルメッドによる創作。それでもオリジナルと感じさせないほどよくできている。絵はアメリカらしいスタイルで写実的な絵がストーリーに力を与えている。
ラストは感動的。美しい物語です。