来週にはいよいよ梅雨明けで一気に夏全開になりそうです。暑い季節がやってくるよ!

わずか5年足らずの短い活動期間で魅力的な作品を次々送り出し、惜しまれつつ亡くなったかがくいひろしさんの夏の絵本。ナンセンスとはまた違う、この“とぼけ”た感じをぜひ味わってみてほしい。

『なつのおとずれ』
かがくいひろし:作 PHP研究所(2008年)

天気予報が梅雨のおわりを伝えると、テレビの向こうで夏の太陽が準備開始。それを察知したのはスイカやかき氷、ひまわりなどの夏キャラたち。自分たちの出番がきたと走りだす。さらにトウモロコシや蚊取り線香など、日本の夏の風物詩たちが次々その流れにのる。走るその先で太陽が──

夏、をその季語のようなキャラたちで描き出す、かがくいひろしワールド全開のたのしい絵本。いわゆるナンセンス絵本ということになるのだろうけど、最近になってふと気付いた。かがくいさんの絵本はナンセンスというより、“おとぼけ”絵本とでも言うべきものなのではないかと。

ナンセンス、非常識、といった感じよりもむしろ、“とぼけた感じ”というのがかがくいさん独特のスタイルなのではとようやく気付いた。この微妙なおとぼけ感というのはちょっと簡単には真似できそうで出来るものではない。キャラクターの表情もそうだが、お話し自体ナンセンスと言うより“とぼけ”た感じで、ナンセンス絵本の大家である長新太さんの絵本と比較してみてほしい。長さんのそれとはまた違う、独特のとぼけた感じ…これこそかがくいひろしワールドであり、得難い才能だったとあらためて思わされる。


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