M・W・ブラウンの超名作『おやすみなさいおつきさま』へのオマージュとして描かれたかのような絵本。あるいは21世紀のあらたな『おやすみなさい~』とでも言おうか。
『どこかで だれかが ねむくなる』
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メアリー・リン・レイ:詩 クリストファー・サイラス・ニール:絵 こうのすゆきこ:訳 福音館書店(2016年)
かの名作をベースにしたような、しかし現代的なすっきりとした印象の美しい絵本。赤と緑を基調としていた『おやすみなさい~』とちがい、こちらは夜らしい深い藍色を基調とする。
詩もうつくしい。“ないしょの おはなしが ねむるよ まるくなって ゆめが ひらりと やってくるよ” など、やさしく語りかけるような静かなリズムがいい。
M・W・ブラウンのそれを匂わせるなにかが描かれているわけではなく、あの名作へのオマージュではというのもあくまで僕の勝手な印象だが、それでも詩のリズムなどはブラウンのそれを思わせ、またデザイン的ですっきりと描かれた絵もクレメンスのそれを思い起こさせる。
そして効果的に使われる赤。
『おやすみなさい~』への深い敬慕と、それに並ぶような一冊を…と願ったであろう作者の熱意を感じる。