雪を扱った日本の絵本を5冊、勝手セレクションですが選んでみました。雪の絵本ってたくさんありそうなのでほんの一例ですが…

 

『ゆき』 

きくちちき:作 ほるぷ出版(2015年)

 

 

 

大ぶりのやわらかくも大胆な筆致の絵が印象的なきくちちきさんの雪の絵本。

雪が森にしずかに積り、動物たちが雪のなかをかけまわる。

雪を詩的に綴り、ほっとさせられる絵で雪をあたたかく描いている。

雪の軽やかさが美しいアーティスティックな一冊です。

 

『ゆきのひのころわん』

 間所ひさこ:作 黒井健:絵 ひさかたチャイルド(1985年)

 

 

 

人気作ころわんシリーズのひとつ。

雪が降って雪のうえにすぽすぽと足跡をつけて歩くのに夢中のころわん。

仲良しのちょろわんといっしょにさんざんあそんでいたら、雪のうえに赤い手袋の落とし物をみつけた。二匹は手袋の落とし主をさがそうと足跡を追って・・・

 

真っ白な雪のまぶしさよりも、ころわんの丸々としてぬいぐるみのようなかわいらしさに目が行きがちなんだけど、それも含めてかわいくてたのしい絵本。

 

『雪のかえりみち』 

藤原一枝:作 はたこうしろう:絵 岩崎書店(2000年)

 

 

 

学校の授業のあいだにすっかり大雪になって、お母さんたちが学校まで迎えにくる中、

バスで帰るぼくはバス停でバスを待ちます。

でも大雪でなかなか来ないうえに寒さがジンジンつのってきます。

お兄ちゃんは見つからないし…

次第に心細さからまだ小さかったときのことを思い出し、不安になってくる。そんなぼくに手を差し伸べたのは・・・

 

これは雪の日にちょっぴり成長する男の子の物語です。

読み終えたら裏表紙も見返すことをお忘れなく。姉妹作で『まほうの夏』もあります。

 

『わんぱくだんのゆきまつり』 

ゆきのゆみこ/上野与志:文 末崎茂樹:絵 ひさかたチャイルド(1997年)

 

 

 

大人気シリーズの雪のおはなし。

雪がたくさん積り、わんぱくだんの三人は公園でかまくらづくり。

夜になったらここでかまくらごっこしようぜ!と三人は夜にふたたび集まり、かまくらの中でおかしや甘酒を飲む。そこへやってきたのは・・・

 

出てきた当時はここまでのロングシリーズになるとは想像できませんでしたが、

今も子供たちに大人気のようで。

末崎さんの絵は昔から好きです。

おはなしもワンパターンだからこそ安心して楽しめるし面白いです。

 

『ゆきがふる』 

蜂飼耳:作 牧野千穂:絵 ブロンズ新社(2013年)

 

 

 

 メルヘンチックなファンタジーでありながら、どこか日本の古い民話の世界に通じるものがある作品。

雪が降り積もり世界が一変したような真っ白い銀世界に、うさぎの子のふうちゃんは病気で寝ている妹のために雪を降らせてほしい…

そんな願いを叶えてくれる雪の妖精ふわふわころりとゆきぐもに出会う。

ふうちゃんの願いを聞き入れるため、ふうちゃんが一番大切にしているおもちゃを要求する・・・

 

突き放したような結末はいかにも厳しく日本的だけど、

どこか抒情的なうつくしさとあたたかさがある。

ハッピーでも残酷でもない、切なくもやさしい絵本です。