機会があったら訪れたいと思っていた静岡市立芹沢銈介美術館。
静岡市を訪れた時に、ちょうど装幀の仕事を特集した企画展をやっていて、今だ!とばかりに見ました。
 
 
噴水のある池を囲むような素敵な建物です。
 
 
 
 
芹沢銈介さんは型絵染で人間国宝にもなられた染色家。
民藝運動の柳宗悦を師と仰ぎ、着物や帯などから、うちわや風呂敷といった日用品まで作品は多岐にわたっていて、暮らしの中に「用の美」を見出し追求した方です。
 
そう言えば、子どもの頃、家の中に、芹沢銈介的デザインが施されたもの(暖簾や風呂敷、うちわ、花瓶敷等々)が色々あったと思うのですが、あの頃はちっとも好きじゃなかったなぁ・・・と思い出します。
もっと西洋的なもの、キラキラしたものに憧れていたわけですよね。
でも年齢を重ねたせいか、改めて見ると芹沢銈介のデザインのかっこよさに気づきます。
緊張と弛緩のバランスが絶妙で、粋でありながらも場と馴染む柔らかさも兼ね備えているということをひしひしと感じました。
素敵でした・・・。(うっとり)
 
ブックデザインも素晴らしかったです。
布張りの特装版の豪華本なども多くあり、書物がそれ自体アート作品としての価値を持っていたことを思い出させます。
最近ももちろんそういう本もありますが、書物自体が貴重で、所蔵することに大きな喜びを感じていたころとはまた意味合いが変わってしまったようにも思います。
もちろん豪華本のみならず、普通に印刷された普及本というか廉価版のデザインも素敵で、その書物の佇まいを品よく奥深いものにしていました。
 
 
 
そして、こちらの美術館では、自分が気に入った作品を1点のみ撮影できることになっています。
スタッフの方に声をかけて「これを撮影したいのですが。」と申告し、スタッフが見守る中で撮影します。
撮影した画像は個人で楽しむのみで、SNSその他には上げてはいけないとのこと。
私は、迷ったあげく、芹沢銈介さんの代表作「春夏秋冬」のタペストリーを撮影させてもらいました。
布文字の春夏秋冬の周りにその季節季節の風物を配した味わい深いデザインです。
カッコイイなぁ・・・。
色んな色で染めたものがあるそうで、色合いによって、また印象が異なるでしょうね。
私が見たのは黒・グレイが基本で少し色味が入ったもの。
シックでした。

 

色違いで大きさも全く違いますが、このデザインです↓

 

静かで落ち着いた美術館で、外界とは違ったゆったりした空気が流れていました。