3か月半ぶりに美術展へ。
東京ステーションギャラリーで開催されていた時から関西へ巡回してくるのを楽しみにしていた『メスキータ展』
新型コロナの影響で会期をずらして開催されています。
今は完全予約制での入場になっていて、訪れた平日の午後はとても空いていました。
(閲覧室に2~3人くらいで、美術館全体でも10名に満たない鑑賞者しかいなかったかも。)
まだまだ用心して感染防止に努めなくてはならないのは当然なのですが、開館してもこれだけ人の入りが悪ければ、美術館の運営としては大変なことでしょうね。
 
で、『メスキータ』です。
彼は19世紀末から20世紀初頭にオランダで活躍した版画家・画家・デザイナーで、美術学校で教鞭もとっていました。
その教え子の一人がエッシャーで、エッシャーはメスキータを生涯の師と仰いでいたそうです。
 
↑自画像かと思ったら、どうもモデルは息子さんのようです。
 
 
 

ほとんどが彩色をしない黒と白の版画作品ですが、そのデザイン性に惹かれました。
特に木版画。
細かく彫り込んだ緻密な作品もありますが、白と黒で計算つくされた簡潔な構図で、見る人に強烈なインパクトを与える作品が印象的でした。
エッジが効いていてカッコイイです。
 
そして、忘れてならないのがドローイングです。
これは版画作品とは趣を異にしていて、ほぼ自動筆記に近い無意識的に描いた作品だそうです。
夢の中のように少し不気味だったり、幻想的だったり、シニカルだったり…。
精神分析したくなるような意味深な絵で、すごく魅力的でした。
 
彼はユダヤ人で、家族もろともゲシュタポに逮捕され、1944年にアウシュヴィッツで亡くなったそうです。
さぞ無念だったことでしょう。
その時アトリエに遺された多くの作品を、エッシャーや友人たちが決死の思いで運び出して守り抜き、戦後には展覧会なども開催して、メスキータの作品やその功績を広めたそうです。
本当に尊敬を集めていたのでしょうね。
そんな人々のお蔭で、今日の私たちがこうやって鑑賞することもできるということなんですね。
しみじみと感謝します。