GWは半分くらいがお仕事のehokenです。こんなときこそ、たくさんの人にお会いしたいのですが、なかなかうまくいきませんね。
今回は、あるお客様のお話しです。高齢なお母様が、残されるだろう息子さんのために保険に入っていただいていました。お話は、息子さんのお姉様からうかがいました。
息子さんは、お母様とふたりで暮らしていて、日々ボケが進む母に、ほとほと手を焼いていました。言葉がちゃんと伝わらなくなってから、時間の感覚がなくなり、自分がどこにいるのかわからなくなり、、、といったところから、息子さんが誰なのか分からなくなるまでは本当にあっという間でした。
「家を出る前に食事を作って、、、食べさせて、、、そのあと横にしたり、テレビを見させたり、、、夕方までの用意をして、、、、それなのに、、、『あなた誰?』、、、おむつを替えて寝かせようとすると『痛い!嫌だー、、、誰か助けてー!』とか叫ばれるんだよ、、、、育ててくれた親とは言え、、やりきれない、、、、私のことも、、、あの人とか、、、誰だか分かってないし、、、」と、息子さんは愚痴っていました。
やがて、お母様の痴呆は進み、食べ物が分からなくなり、オムツを外せなくなり、それなのに、高い柵を越えて徘徊してしまったり、息子さんの介護の苦労はどんどん大変になっていきました。
昼間にデイケアで面倒をみてもらっても、行くのを拒否したり、施設内で暴れたりするようになったようです。
さすがに昼間、家にお母様を置いておけない、一人で面倒を見切れないと判断し、施設への入居を決めました。
お母様は入ることを、猛烈に拒否し、抵抗しましたが、施設の人の協力で、どうにか、施設での生活を始めることができました。
しかし、入ってから少しして、問題が発生しました。ハンガーストライキです。お母様は、まったく食べ物を口にしなくなってしまったのです。普通に会話はできませんし、無理に口に食べ物を入れても、吐き出してしまっていたのです。
そして、そうした抵抗がおさまると、、、昼夜まったく眠らずに、夜中、施設内を徘徊したり、、冬の寒い時期だったのですが、薄着で施設の廊下に立っていたり、問題行動が増えていきました。
息子さんは、わざと母親が迷惑をかけて、自分を苦労させるようにしている、、、、と愚痴とともに、、、施設に入れたことを恨んでいるのかと思っていたそうです。
そのことは、たとえば、寒い施設内を、薄着で、徘徊しているのを、、、息子さんが見つけて、抱えて部屋に戻そうとすると、普段以上に反発して、柱にしがみつこうとしたりするのでした。
施設のなかでも、厄介者扱いされていることは、従業員さんと話してもうかがい知れることでした。息子さんも、相当困っていたようです。
施設では、下着や服を用意していないので、息子さんが、着替えなどを入れ替えていました。施設に入って、何カ月かが過ぎ、冬服から夏服に、替えようとしていました。
夏服を、母親のタンスから出していると、タンスの奥から、丁寧に折りたたんだ紙がでてきました。
夏の下着の上に置いてあったことからも、それほど昔に置かれたものではない感じでした。
丁寧に折り目を、広げていくと、すでにボケが進み下手になった文字で、メッセージが綴られていました。息子さんは、このとき、下手な字をみて、かつての習字の有段者だった母が、最後はこんなきたない字になってしまったことを思い、哀しい気分になったと言っていました。
その内容は、以下になります。内容が分からなくならない範囲で、原文に近く書きます。
私はボケが始まった。どんどんバカになる。だから、まったくバカになっちゃお前えに、この手紙を書いた
これをよむ人は、おそらく私をめんどうをしてくれている人だろう。
私には子がいるが、この手がみは子が見ないかもしれない
わたしを見ている人なら、まいにち、本とにありがとう。
ありがとうございます。
そして、子に会えたら、次のことを、つたえてください。
あなたは本とうは心のやさしい子だから、私はめいわくをかけている。
わたしのせわは大変になっているでしょう
私はあなたを助けてあげられない。助けられてばかり。ごめんなさい。
バカになっちゃって。あなたにつらい思いをさせたくありません。だから、ひどくならないよう、あまり長引かないように、なりたいです。
ひどくなってきたら、めんどうをしないでいいです。だめな母になって、本とうに、ごめんなさい。
このように書かれていました。
息子さんは、この手紙を読んで、呻きおお泣きしたとのことです。
母親が食事を拒否したり、眠らなかった理由がわかったのです。
すべて息子さんのことを思ってのことだったのです。
この手紙を見てから、母親に息子さんからの愛も伝わり、食事も普通にとるようになり、夜も眠ったとのことです。
それでも約1年後、寿命には勝てず亡くなりました。
私は、息子さんに、保険金をお渡しすることしかできませんが、ときどき、こうしたドラマを聞くことができます。それぞれの保険に、それぞれのドラマがあります。命がかかったドラマのときもありますし、大病したときのドラマもあります。みなさまの、こころの負担を少しでも軽くするため、保険の給付の仕事を通してお役に立ちたいと考えています。
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