CPがユーロ市場の金融商品として出現したのは必ずしも最近のことではない。一九七〇年代初期に米国の多国籍企業が海外金融調達のため若干の発行例があるからである。

しかし、現在のようにほぼ短期資金調達手段の中心を占めるまでに拡大してきた(八四年六億ドル、八五年二八四億ドル、八六年五五六億ドル)のは、やはり特筆大書すべきことであろう。つまり、ユーロ市場の資金調達の主流は、シンジケート・ローン→FRN→短期ファシリティ→ユーロ・コマーシャル・ペーパーと変遷してきているのであって、これ自体がユーロ市場の証券化の流れでもある。

ユーロCPは明らかに米国型商品であるが、その米国CPとの相違点は次のようなものである。①期限は三〇日~三六五日程度で主体はI~六ヵ月ものである。米国ではSECの規制上、実務的には二七〇日までであるが、主体は三〇日程度。②格付け不要、③償還についての銀行保証不要、④流通市場としては若干存在する、⑤準備期間約二週間(米国のように格付けのために六~八週間を費やすことはない)、⑥主としてディーラーを通じた販売方式(米国は直販方式もある)等である。