病室に帰って自分が焦げ臭い事に気がついた
そいえば昨日 この匂いの人いたな
手術の匂いというか 電気メスで切った匂いなのだろう
リンパへの転移は無かった事 母に手術が無事終わったと連絡してくださった事を聞いた
先生も看護師さんもしょっちゅう様子を見がてら傷の様子も診てくれる
どうなってるか想像はついてる
でも見たくない
痛み止めの点滴が1袋6時間あるそうで
3日間分用意してもらってあるんだと聞いた
左片麻痺の私は右手しかまともに使えない
右手に3日も点滴差しっぱなしじゃ トイレも食事も困る
左が麻痺しているおかげで左全摘の痛みもあまりわからないみたい
隣のベッドの人も多分同じ手術を 同じ日にされたんだと思う
同時再建でお腹も切ったのかな
「お腹の傷も見せて」って聞こえてたから
もっと強い痛み止めは無いかと看護師さんに聞いたりして かなり辛そうだった
普通に痛みがわかる人はこんなに辛いんだ
痛みより 点滴繋がれた不自由さから 次の日に痛み止めの点滴を抜いて欲しいと 頼んで取ってもらった
ドレーンが2つ引っ付いていた
傷と腋窩に繋がっているらしい 5〜7日で抜けるのが標準との事
これまた邪魔なので早く抜けることを祈ろう
結局少し早めの4日で2本とも取れた
ドレーンが取れるとトイレもリハビリも随分と身軽になった
シャワーも許可が出て介助が必要な私には看護師さんが1人ついてくれて 術後初めてのシャワー浴をさせてもらった 鏡に自分の姿が映る
左胸も映ってるだろうが見る気にはならない
身体を拭く時も服を身に着ける時も左胸はあえて視界に入れたくなかった
術後初めてのシャワーでやっとあの焦げ臭い匂いから解放された
その日の夜 眠るためにベッドに入り そっと右手を左胸の上に置いてみた
右手に触れたのは 大きな傷と あばら骨と
何より絶望だった