町田ゼルビア黒田監督、天皇杯敗戦の相手チームに怒り心頭「勝ち負け以前の問題だ」

6月13日、J1町田ゼルビアの黒田剛監督が、天皇杯2回戦で筑波大に敗れた一戦を巡り、相手チームのプレーと審判の判定基準に憤りを露わにした。町田は試合中、DF張敏圭とMF安井拓也が相手との接触プレーで負傷退場。さらにFW羅相浩とFWミッチェル・デュークも負傷するなど、黒田監督は「勝ち負け以前の問題」と怒りを隠さなかった。

 

 

 

骨折で離脱の張敏圭と安井拓也、羅相浩とデュークも負傷

クラブの発表によると、負傷交代した張敏圭と安井拓也は骨折と診断された。加えて、羅相浩が左足関節じん帯損傷、デュークが左太腿肉離れを負ったことも明らかになった。黒田監督は「スライディングがボールやコースではなく、事実として足に行っていた」と、一部の悪質なファウルを指摘。「選手が文句を言えないなら、どんな批判があっても指導者が指摘しなくてはならない」と語気を強めた。

この試合で町田は、敵地で先制点を奪いリードする展開もあった。だが、キーマンを次々と失う苦しい戦いを強いられ、PKまでもつれ込む接戦の末に敗れた。黒田監督にとっては、采配以上に選手の身体面での痛手が大きかったに違いない。リーグ再開を目前に控える中、ベストメンバーで臨めない事態に頭を抱えているだろう。

 

原靖FD、判定基準を日本協会に問い合わせへ

一方、町田の原靖フットボールダイレクターは、この試合の判定基準について日本協会に文書で問い合わせる方針を示した。「何分に何があった、と事実を提示する。学生のせいにしてはいけないし、非難するつもりはない」とした上で、「レフェリーが基準を示して試合をコントロールすべきだったのではないか」と疑問を投げかけた。

黒田監督も原FDも、筑波大の学生たちを批判するのではなく、あくまでプレーの質と審判の采配に焦点を当てている。ただ、原FDは「大学チームとやるとよく激しい試合になる」と指摘。Jリーグのプロチームと大学の学生チームとの間には、体力面だけでなく経験値の差もある。そのギャップを考慮しつつ、ファウルの危険度を見極めるのは審判の役目だろう。

 

今後の展開は? リーグ戦への影響と問題提起の行方

15日に控える横浜FC戦を皮切りに、町田はリーグ戦の再開戦に突入する。だが、主力の離脱が相次いだことで、黒田監督の頭痛は尽きない。好調だった攻撃陣も、デュークと羅相浩の同時離脱は痛手だ。守備の要の張敏圭を失ったことで、守備ラインの構築にも影響は避けられまい。この事態を受け、黒田監督は戦術の練り直しを迫られているに違いない。

一方、日本協会への問い合わせがどのような展開を見せるのかも注目だ。Jクラブと大学の対戦はこれからも各地で行われる。体格差などを踏まえた上で、危険なプレーをどう判定していくのか。一定の基準を示すことで、学生の身体面のリスクも軽減できるはずだ。町田の問題提起が、今後の学生とプロの交流戦にどう反映されていくのか。議論の行方から目が離せない。

 

まとめ

黒田監督の怒りの矛先は、筑波大の選手個人ではなく、危険なプレーを見逃した審判の姿勢に向けられている。原FDが日本協会に判定基準の説明を求めるのも、学生の安全を守りながら、有意義な交流の場を作るためだろう。一方で町田は、主力4人が負傷離脱するという事態に直面した。リーグ再開を目前に控え、黒田監督の手腕が問われることになる。町田の問題提起は、Jクラブと学生の交流戦のあり方を考える一つの契機となるはずだ。プロと学生が互いを尊重し、切磋琢磨できる健全な環境づくりが求められている。