
富士6合目にて -CONTAX G1 Sonner90mmF2.8-
SE110が断線して、修理に出したら、SE210が来た。なんでもSE110は既に販売終了、在庫も無いので上位グレードのモデルに交換、ということらしい。愛用してきたSE110に未練が全く無いといえば嘘になるが、それでもより上位のモデルに交換というのは、むしろ喜びの方が大きい。
ということで、先日手に入れたER6iと比較しつつ、ちょっと感想など書いてみよう。
初期の音は、SE110やER6iほど変な音ではないが、解像度が低く、音像が大きく感じる。それでも全体の音のバランスは良く、微妙なニュアンスも表現しており、エージング後の音に期待を持たせてくれる。数時間も聴いていれば、音像も徐々に締まってきた。嫌味にならない程度の味付け(音色の艶っぽさや微妙なニュアンス等々)は、その辺、割とあっさりしたER6iのモニターライクな音に比べると濃厚。正直、こちらの方が聴いていて楽しい。
ER6iでは、ギターやピアノソロなど、繊細な表現を楽しむ時には良いが、オーケストラなどを聴くと厚みに欠ける。AlneoV80のチューニング機能を使っても、その特徴はあまり変わらない。確かにノーマルの状態よりも高域寄りの特性は緩和されるが、音圧が低く、迫力には欠ける。ただ、楽器の一つ一つの繊細な表現を精緻に聴こうとするならば、ER6iだろう。
ちなみに、ER6iをAlneoV80でチューニングすると、その結果は見事に高音に向けてだら下がりのほぼ直線になる。よくこのイヤホンをして「高音より」という評価を見事に裏付けてくれたことになる。ただ、それは高音だけが突出しているわけではなく、なだらかに高音に向かってボリュームが多くなるため、そのままでも嫌味な不自然さを感じなかったのかもしれない。この特性であれば、携帯オーディオのおまけで付いてる低音をブーストさせる半端な機能(どの帯域をブーストするのか知らないが)では、結果的にドンシャリ特性にしてしまい、このイヤホンのナチュラルな質感をスポイルしてしまうかもしれない。
遮音性は、ER6iは3段フランジと、SE210のソフトフォームで比べると、SE210に軍配が上がる。ER6iでも、それだけ聴いていれば十分なのだが、SE210の驚異的な静粛性に比べてしまうと見劣りする。ER6iでは、電車のアナウンスの声や地下鉄の騒音も聞こえてくるが、SE210になると、これがほとんど聴こえない。アナウンスの声で言うと、ER6iでは内容を聞き取れるが、SE210では何か言ってるのは判るが内容は聞き取れない。
価格.comの評価では、遮音性に関してはER6iの方が上なのだが、これは非常に不思議だ。あそこでの評価はほとんどの場合、その製品単体のもので、相対的なものではないからだろう。ネットの評価というものを鵜呑みにしてはいけない。
もっとも、この評価は地下鉄の中でのかなり厳しい条件で、クラシック音楽を聴いたときの話し。一般的にはどちらでも必要にして十分な(むしろ過剰かも?)遮音性を持つと思われる。ロックやポップスなどではどちらを選んでも違いは判らないかもしれない。そうは言いつつも、僕の場合、上記の厳しい条件でクラシック音楽を聴きたいがためにこれらの製品を選んだのであるから、やっぱりSE210の勝ちと判断せざるを得ないのだが。いずれにしても、これで音楽を聴きながら道を歩くときにはくれぐれも周りに注意。
ちなみに遮音性に関して言えば、ER6iもソフトフォームが付いており、厳密にはそれで比較すべきかもしれない。ただ、それぞれの標準がSE210はソフトフォーム、ER6iは三段フランジなので、そういう意味ではこれらが、それぞれのイヤホンの推奨する音が出る組み合わせと思われる。
三段フランジと言えば、僕の場合、右の耳の穴の方が左よりもやや大きい。ER6iの三段フランジの場合、大小2種類からえらべるようになっていて、僕の場合は左右とも大を選んでいる。ところが、左はちょうどいいが、右はそれでもちょっと緩いようだ。歩くときに完全にフィットしていないせいか、プツッ、プツッとイヤホンが擦れる音がする。これが結構気になる。うまくはめれば音がしないこともあるが、その加減が判らない。また、何となく右の方から外の音がやや多めに漏れてきているような気がする。右耳がフィットすれば、もしかすると遮音性の評価も変わる可能性が高い。
トータルでどちらが良いとは、なかなかはっきり言いがたい。曲とシチュエーションで分けるべきかも。電車でマーラーの重厚なオーケストラ曲を聴くならば、断然SE210。比較的静かな所で、ピアノソロや、ギターソロなどはSE6iで聴きたくなるかも。