骨折のため自主休業している中、新しい知識の学びのため所属する母乳育児支援学習会に仙台まで行ってきました
科学的根拠のある支援のためにママたちを悩ませている食生活について改めて研究データーで明らかになったことを国立大阪南病院、小児科医の山本よしこ氏の報告を掲示させていただきます。
1、母親の食べもので母乳の組成はどのくらい変化するか?
母親の食事中の栄養素(蛋白質・炭水化物・脂肪)は母乳の組成に反映される。特に母乳中の脂肪 酸の量・組成は母親の食事中の脂肪酸を反映する。(多価不飽和脂肪酸)
母親の食事摂取と母乳中の亜鉛・鉄・セレン・ヨード濃度には有意な関係性を認めていない
母親の食事の栄養バランスに多少の偏りがあっても、母乳の分泌量や成分を一定に保とうとすると
する母親自身の適応がある。
2、母親の食事で児のアレルギーは予防できるか?
授乳中の母親の食事制限では、児のアレルギー疾患発症予防と治療効果は観察されなかった
これまでの研究から我が国をはじめ各国のガイドラインでは、妊娠中・授乳中の母親に児のアレルギ
ー疾患予防のために食事制限をすることは推奨されなくなった。
3、母親の食事制限による弊害
厳格な菜食主義者や児のアレルギー疾患治療・発症米納のために食事制限をしている母親の母乳で、育てられている子どもたちに栄耀障害(ビタミンB1欠乏症と脳障害 、発達障害を契機に発見されたビ
タミンB12欠乏性巨赤芽球性貧血、 ビタミンD欠乏症、 乳児ビタミンK欠乏性出血症による急性硬膜
下血腫~現在はVK予防投与方式がとられている~など)の報告がある。
4、母親の食事で母乳の分泌をよくすることができるのか?
母親の食事や接種水分量のよって母乳の分泌が変化するという研究報告は現在ではまだない。
母乳産生における水分補給の効果の研究では母乳産生量に有意な変化はなかった。
5、食事制限で乳房・乳頭トラブルは予防できるか?改善できるか?
食事との関係に言及した研究結果なし。
成熟乳の脂肪滴の直径は2,0~6,0μmであり母乳中においても脂肪滴同士のの癒合は見られなかっ
た。通常用いられる乳管内視鏡の外径は0,4~1,7㎜(400~1700μm)で、乳管と脂肪滴の直径を比較
しても脂肪滴が乳管に詰まるとは考えにくい。
結語
「より良い母乳」が存在するのではなく「より良い食事」というのも存在しない。母親が種々の食品を十分に食べれば、必要な蛋白質、」ビタミン、」ミネラルは接種できる。母親は母乳育児をしているときも特別な食べ物を食べたり、特定の食べ物を避けたりする必要はない。母親が偏った食事を続けることで、母親自身は無症状であっても児の成長・発達に影響を与えることがある。