白黒の猫が突然消えた。
俺は狐にでも騙されているのだろうか?
いや、この場合 猫 かな。
美雪はまだ不安げにこちらを、見ていた。
「いや、なんでもない。気のせいみたいだ。声がした気がしてさ」
と美雪に説明した。
まぁ、うそではない。
「ねこ?」
「そう。ねこ。」
「前にも猫を見てた、、美術館で」
「美術館・・・黒猫の絵?」
「雪斗。あのね。」
「ん?」
「わたし・・・」
美雪は何かを言いかけて口を閉じた。
「ううん、何でもないの。」
そういってニコッと笑う。
親父がいつも言っていた。
(女性の嘘は許しとけ、焦って聞いてもその時には何も解決しない。)
雪斗は気になったが、
聞き返すのをやめた。
「そっか。行こう、教室。」
「うん。」
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1日前。
「ふーん。あの子か。」
昼休み。
本校舎1階廊下。
レイナは2人の男女を見ていた。
「どうしようか。ちょっと確認」
レイナはそう言うと、
2人の方に近づいていく。
すれ違い様、軽く振り向くように2人を見た。
(気のせいか?)
女の方がレイナを見た気がした。
だけど、レイナはこれで確信をする。
“ 今年はあの子だ ” と。