気付けば彼女はそこにいた。(3)ゆかり | ゆみんのエゴラムブログ

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はじめまして。
エゴラム二ストの ゆみん です。

「エゴ」×「コラムニスト」=「エゴラムニスト」

エゴには自我という意味があります。自我とは自ら意思判断のこと。

自我とコラムを掛け合わせたユニークな文を書きたいです。というか書きます!

今日は1年生全員で、美術館に行く日だった。
美術館の入り口は広くて、何だか吸い込まれるような気がした。

担任先生の号令と共に、生徒たちは次々美術館の中に飲まれていく。

「ゆかり、早くいこ!」

ハッとした。
親友の夏帆が急かしている。

私はお気に入りのシュシュで髪を結ぶと、夏帆のもとにかけていった。

「ごめんごめん、シュシュとれちゃって」

「とかいって、雪斗くんにシュシュ褒められたから緊張で動けなかった?」

「もう!いつもと違うって言われただけじゃん!」

顔がほてるのが分かる。


“雪斗くん”とは、同じクラスの男子、真水雪斗のことだ。

そして、私が最近気になり始めた人。

付き合ったことが無いから、
どうすれば良いのかわからないけど。

今は、真水くんのことを見ているだけで、十分。

「もう、いこ!」

からかう夏帆の話を遮って、美術館の大きな入り口に私達も飲まれた。