(本文とは関係ないですが…是枝監督の「万引き家族」が邦画としてはカンヌ国際映画祭で21年ぶりの最高賞"パルムドール賞"受賞とのこと。おめでとうございます! 「勝手にふるえてろ」のBlue-ray&DVD発売日から2日後の公開が楽しみ!!)
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映画「勝手にふるえてろ」が公開して3日後の2017年12月26日に(福島市での公開まで待てなかったし、車でつくばまで行くならその先まで高速バスで行っても変わんないじゃんという結論に達し)東京まで行って、先行予約していたチケットを使って「勝手にふるえてろ」を初鑑賞した。
【映画チラシ】『勝手にふるえてろ』 | 映画がもっと面白くなる映画情報サイト「ムビッチ」
http://moviche.com/contents/flyer/51355/
とにかく心が揺さぶられる映画だった。その日のうちには うまく書けなくて、とりあえず帰り際に買った綿矢りさの同名原作本をバスの中で読みはじめた(読み終えたくなくて少し取っておいた)。年齢設定の違い(映画は24歳・原作は26歳 の設定)もあってか少しずつ人間像は違うけれど、頭のなかで動くヨシカは映画のヨシカの顔をしていた。
翌日にTwitterで
“映画.comのインタビュー記事で「満を持して、と形容しても誰も異を唱えないだろう」と冒頭に書かれていたが、正にそうだと思う。/この映画が彼女の新しいスタートとなり、さらに躍進・大成していくだろうことは容易に想像がつく。/今、最も映画館で観るべき作品として勧めたい映画『勝手にふるえてろ』“と書いた。
あれからちょうど4ヶ月後に2回目となる「勝手にふるえてろ」を観終わって、あの直感は間違ってなかったし、想像以上だったとも思った。挑んでいる相手は、もはや世界だ。
あと幾つかTwitterでつぶやいて、そのうちのひとつに大九監督からイイネをもらってすごくテンション上がったのを覚えている。
もっとちゃんと書こうかと思っていたけれど、とりあえず原作を読了してからかなと思って。そのうちに「シナリオ」2018年1月号に台本が掲載されると聞いて取り寄せ、それも仕事の昼休憩のときに ちびりちびりと噛みしめるように読んだ。読み終わってからは「倍音」が観たくなってレンタルするために何軒か探したけれど置いてなくて結局買って観た。レンタルではなく購入という視聴方法で良かったと思える内容だった。
そうこうしている間にイベントが入り、本業が忙しくなり…たまに「勝手にふるえてろ」について検索していると、映画を観て感じたことは概ね すでに誰かが書かれていて、その感想記事を読んでそうだよな、と共感し満足してしまってすっかり書く機会を失った感じになっていた。プライベートが一段落して地元で「ちはやふる –結び-」を観て、東京で「blank13」観た日の午後に「江戸は燃えているか」を観て…。
でも、今回、2回目を鑑賞し、やっぱり書きたくなったのでここに書こうと思う。
先にも書いたしパンフレットにも書かれているけれど、映画版「勝手にふるえてろ」は原作と違う部分がいくつかある。というか結構ある。
12月に映画を鑑賞し終わって原作を読んだときにその感じがすごく強かったけれど、記念上映で 2回目になる「勝手にふるえてろ」を観終わってもう一度原作を読んだときには、それほど違いは感じなかった。
勝手にふるえてろ公式サイト│イントロダクション&ストーリー
http://furuetero-movie.com/intro_story/
たぶん、初回は前半のハイテンションさと後半の加速していく熱量を体感し、鑑賞後にそれを処理するので目いっぱいだったのだと思う。初回観た後にTwitterでは、
“『勝手にふるえてろ』は、ラブコメディって書かれているけれど、”恋愛”を扱った”コメディ”要素のある「青春映画」かなと思う。/”世間からずれている”感や”微妙な生きづらさ”を感じている女子の 青春のラストってこんな感じなんじゃないかなっていう。”
と書いていた。
ヨシカを演じた松岡茉優本人もインタビューで答えていたけれど、“ラブコメ”という定義づけされ方に違和感があった。まぁ”2人の彼氏(?)の間で揺れながら 傷だらけの現実を突き抜ける”ので恋愛モノだし、破天荒な主人公とテンポよく軽快に進む内容はコメディなので間違ってはいないのだけれど、なんか腑に落ちない感じだった。
2回目は全体がわかっていたから、自然と違った目線で観ていた。どちらかというとニの目線で観ていたように思う。なるほどニの目線でストーリーを追うと純愛モノなんだ…と腑に落ちる。
たぶん、イチの目線で観たら、来留美の目線で観たら…と、また違った見え方になるのだろう(これはBlue-ray届いてからの楽しみ!)。
序盤からシーンごとに印象的なキャラクターや興味深い出来事がテンポよく現れ続ける前半は小気味よく、観ていて面白い。主人公 ヨシカの思考はオーバーなところがあるけれど共感できてしまう部分もあって、いつのまにか引き込まれている人も多いはず。喜怒哀楽がはっきりしているから、観ているうちに主人公が憎めなくなってしまう。
憎めないといえば二も同じ。ヨシカと同じ会社で働く同期の二は、確かに営業にいそうなノリ。そしてうざいんだけれど、人柄の良さがにじみ出ている。
ヨシカの隣の席で働く経理課の同僚である来留美も職場にいそうなタイプ。ヨシカが中学時代から片思いをしているイチは、ヨシカ目線で描かれるから余計に現実世界から浮いているように感じる。そして職場以外のシーンで次々出てくる個性的なキャラクター。
映画『勝手にふるえてろ』本編映像◆まるでフレディ・マーキュリーの生き写し!!
https://www.youtube.com/watch?v=LaKe9ufaCFo
…と、職場にも独特な方がいらっしゃいましたね。
ヨシカの生活範囲から描かれているので、同級生、同年代の同僚、主人公と年の離れた街の人達しか出てこない。ひねくれで、自分勝手で夢見がち…ひとりよがりのヨシカに 正直な反応を示す同年代と、ヨシカに共感してくれる街の人達。彼らの反応で、ヨシカの思いや性格、ヨシカなりの処世術が浮き彫りになる。
後半はどっしりとした内容。前半のオーバーっぷりにブーストがかかって更に加速する。前半でヨシカに感情移入してしまうと、ジェットコースターのような急展開を味わうことになる。ひねくれているけれど自分の思いを曲げないヨシカと、そのままのヨシカを受け入れることはできない世間。乗るか反るか、そのままを突き通すのか…言いたいことをちゃんと描ききってくれている感があって好感が持てるし、ラストは気持ち良く終わってくれて、観るたびに勇気が貰える映画な気がする。ラストシーンから続く主題歌がまた良い!
観終わるとこじらせたヨシカがいとおしくなって、気づくと日常をヨシカの思考で見つめてしまう。1時間57分、ヨシカがほぼ出ずっぱりの映画。これもうヨシカ中毒。何度でも映画館でヨシカに会いたくなる。
授賞式で実際に見たヨシカ…を演じた松岡茉優は、当たり前だけれど「勝手にふるえてろ」より大分 大人の女性になっていた。
作中のヨシカと同じ人物なのが不思議で混乱してしまうくらい、ヨシカは可愛くなかった(褒め言葉)。いや可愛いんですけれど、“くるくる変わる喜怒哀楽の表情をみて、生き様をみて、初めて可愛く見えてくるヨシカ”を演じる松岡茉優はやっぱりすごい。
個人的に好きな箇所は、冒頭の歯磨きでペッと躊躇なく泡を吐くところと、宅配業者がいなくなってからダンボールを開けて愛でるところ、課長がパソコンのディスプレイの上から顔を出したあと涼しい顔でリズムをとるところ、同期会で一人外に出たあと髪の毛が顔にかかったのも気にせずつぶやき続けニに声をかけられて「ふぁッ」ってなるところ、酔って吐いたニに水を買ってきてあげるところ、コンビニで栄養ドリンクを手に取るところ、「一見醜い現実こそうつくしいのかもなあ」のセリフ、切腹最中を「よし!」と言いながら渡すところ、来留美のパワースポットの説明、実家で白太郎に話しかけているところ、タワマンのエレベーター内でニを蔑んだ目で見るところ、夜明けのベランダ、「あざーす」、「駄目とは言わせねえぜフレディ!」「駄目ですよ」、「リアルに召喚」、「あ」…多少削ったけれど 挙げたらキリがないスね。そんくらい好きです。
記念上映が始まる少し前まで スクリーンの前にいた女優 松岡茉優は、すでに未来を見据えて仕事に取り組んでいるんだな、って改めて思った。
今でも十分に 良い意味で期待を裏切り続けてくれる女優さんなのに、これからどんな女優になっていくのか、ますます目が離せなくなった。
ネタバレありの内容
『幻影とリアルのゆるやかな線引き 「勝手にふるえてろ」 映画と原作を勝手に比較(ネタバレあり)』
https://ameblo.jp/egoistic-rain/entry-12381612107.html
につづく