こんにちは(*^-^*)

 

Naoです。

 

今日もここへ来てくださって

ありがとうございます。

 

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Sさんの突然の余命宣告に

頭が真っ白になり、

涙が止まらなくなりました。

 

 

私は、

何をしてあげれただろう。

 

いつも受け取ってばかりで

何かを与える事はできていただろうか。

 

 

いつでも会える

いつでも返せる。

 

 

当たり前にいつでもいてくれて

来週も、来年も。

ずっとずっと続くと思っていたのに。

 

 

 

「・・・お見舞い、行ってもいいかな」

 

 

従弟さんは、

俺は怒られるけど、喜ぶと思うよ。

 

 

私は、おうちの場所をグーグルマップで

送信してもらって、

翌日行くことにしました。

 

 

お見舞いには何も持ってこなくていいと

念を押されました。

 

もう、食べれるものはほとんどなくて。

 

でも、カスタードクリームは

一口くらいなら食べれるみたいだから

美味しいシュークリームとか

プリンは良いかもと教えてもらいました。

 

 

 

そして、私が受け取ったのは

34万円でした。

 

受け取らないと帰れない。

 

そして、

受け取ってあげてほしいと

そう言われたので

私は受け取ることにしました。

 

 

 

翌日。

 

私は純金のネックレスを34万円で購入。

Sさんの行きつけの貴金属店で

同じデザインのペンダントトップと

女性らしいチェーンを購入しました。

 

 

そして、

カスタードクリームがたっぷり入った

シュークリームが特徴の

 

私が大好きな洋菓子店で

シュークリームを購入して

 

仕事を休んでSさんのおうちに行きました。

 

 

 

お母さんと、奥さん、そして愛人さんが

一緒に暮らしているという

不思議な家族構成でしたが、

 

3人ともとても仲が良くて。

 

顔も知らないホステスである私が

突然お邪魔したにも関わらず、

丁寧にもてなしてくださいました。

 

 

 

あなたがNaoちゃんね?

いつも話を聞いていたのよ。

 

とっても面白い子見つけたって。

 

邪気がなくて、本当にいい子だって。

 

俺は、あの子は傷つけたりしないし、

かわいがってあげたいんだって言ってた。

 

あの人あんな見た目で

めんどくさい性格でしょう?

 

信頼できるお友達も少なくてねぇ。

 

わかるのよ、打算的に利用したいとか

計算して付き合われてる人間って。

 

だけど、

あなたは違ったみたいでね。

 

ホステスさんだけど、

昔から可愛がってきた近所の子みたいに

俺を俺として接してくれるんだって

 

なんか、そんな話をよく聞いていたわ。

 

 

 

4人でそんな話をしていたのは

Sさんが眠っていたからでした。

 

お部屋に通していいか聞いてからでいい?

あの人は、自分が弱った姿を

あなたに見られたくないかもしれないから

 

もしダメだと言われてしまったら

せっかく来てくれたのにごめんなさいね。

 

 

最初にそう言われていたので

わたしは仕事もお休みだし

待ってます。と伝えていました。

 

 

そうして

暫く話していると、

従弟さんがやってきました。

 

 

昨日はありがとうございました。と

伝えると、

従弟さんは少し笑っていて。

 

近所なんだよね、

仕事が終わったら毎日来てるんだ。

 

 

そう言っていて。

 

私は知ってる人がいてくれて

少しホッとしました。

 

 

従弟さんが来てから

30分ほど経った頃、

Sさんが目を覚ましたようでした。

 

 

ちょっと待っててね

 

とみんながSさんの部屋へ行き、

暫くしてから

 

 

「Naoちゃん、入っていいって。

 行きましょう(*^-^*)」

 

と、お部屋に案内されました。

 

 

 

 

私は、

 

 

 

 

愕然としました。

 

 

あぁ、この人はもうすぐ

長い眠りにつくんだな。

 

 

そう思いました。

 

 

 

 まだ50歳だというのに、

90歳だと言われても違和感がない

弱りきった姿がそこにありました。



ふっくらしていた身体も

ギラギラしていた瞳も

ハリとツヤがあったスキンヘッドも

細かった眉も

グローブみたいな手も


もうどこにもなくて。


青銅のような色に染まった

Sさんが

力なくリクライニングされた

ベッドにかろうじて

座っていました。



オーラもいうものがあるか

わからないけど、

真っ赤な輝きを放っていたSさんの

身体の周りからは

限りなく黒に近いグレーの光が

弱々しく灯っていました。



「Nao、きてくれてありがとう」


力なく笑って、

かすれた声でそういったSさん。


私は、

どんな顔で、どんな言葉をかけるか

さんざん考えていたのに

自分でもびっくりする言葉を発しました。



『なんで?なんで教えてくれなかったの?!

 なんで内緒にしてたの?

 なんで、、』


Sさんのプライドが

弱った姿を見せたくなかったことも、


少なからず私は悲しんでくれると

思ってくれたことも、


大切だからこそ従弟さんに

言伝てを頼んだことも。



ちゃんとわかっていました。



だけど、

悔しかった。


当たり前にずっとそこにいてもらえると

なんの根拠もなく思っていた自分に。


必死にSさんが闘病してる間、

飽きちゃったのかなー。

気まぐれだもんなー。

と、呑気に待っていた自分に。


もう、恩返しのチャンスが

残り少ない時間にも。



やり場のない悔しさや悲しさが

ごちゃ混ぜになって、

あろうことかSさんに

ぶつけてしまったんです。



泣きながら。



Sさんは力なく笑って


ごめんな。

Nao、こっちにおいで。


と、手を伸ばしてくれました。




私はSさんのベッドのそばで

跪いてSさんの

枯れた枝のような手を握りました。



つづく


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


あなたが今日も生きてることに感謝します。


思い出すとちょっと

心が動揺しますが

進めたいと思います。


あなたに今日も優しい時間が訪れますように。



またあした♪