ゴジラと原子力発電所と静岡県 |  Egi Shun,s BLOG~歴史教科書から探る史実探訪

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山川出版社刊 『詳説 世界史研究』『詳説 日本史研究』 の記述から、気になる史実を探訪しています。右サイドバーの目次からどうぞ



日本人が創造したものの中で最も世界的に有名なんじゃないかと思うのが怪獣「ゴジラ」である。

第一作は1954年(昭和29年)に映画公開されているのでもう誕生から57年にもなる。

この映画のなかみをとても簡単に説明すると、「海底に眠る恐竜が水爆実験の影響で目を覚まし日本を襲う」となる。

このコンセプトは1954年に起きたビキニ環礁沖でアメリカ合衆国が行った水素爆弾実験で被爆した日本の漁船「第五福竜丸」の事件からインスパイアを得ている。

この時代に原子力発電所などというものは存在しない。最新科学技術がまず軍事目的に使われるのは人類史をひも解いてみればあきらかであろう?

余談だが、第五福竜丸の船長は被爆後死亡しているがアメリカ合衆国政府は今でも水爆実験との因果関係を認めていないらしい。

ゴジラなる世界的なモンスターキャラクターは造られた最初から「反米・反戦・反核」のメッセージ性を持っていた。当時の民衆は原子力のことなど今の民衆以上によく知らない。

核を恐怖の対象とし巨大な獣として具現化したのがゴジラである。動く巨大原子炉みたいなものだ。怖いよお~。

「体内で核融合をして背びれが光り、口から放射能を吐く」架空の大怪獣なのでこの設定にツッコミはなしだ。だいたい色が付いていること自体おかしいだろ??

核反応も放射線も可視光線じゃないと思うよ。でも無色だと映画の絵的にまったくお話にならない。

この映画はモノクロなので色は白色となりました。

日本で空前の大ヒットを記録したこの映画は日本映画初の海外進出をすることになる。制作側も想定を超えた事態だったことだろう。

なので、1956年の全米初公開時では、政治的な意味合い、反米、反核のメッセージは丸ごとカットされて再編集されている。少年時代のS.スピルバーグやG.ルーカスが衝撃を受けたのはこのヴァージョンのようだ。

まあとにかく世界中で上映されてゴジラの人気は世界的なものになった。

この時代にオリジナルの「ゴジラ」を台詞だけ英語に吹き替えてアメリカで上映なんてできっこないよね。興行者側が暗殺されちゃうよ。

実際に上映することができるようになったのは2005年になってからだそうだ。第二次世界大戦後60年後だよ。

余談だが、1998年のハリウッド版「GODZILLA」はゴールデンラズベリー賞で最低リメイク賞を受賞している。

良くも悪くもゴジラって凄いな!!

俺も観たけどあのGODZILLAはゴジラに似たなにかでもなくゴジラの様ななにかでもない。ゴジラってタイトルに付けなきゃよかったのに。

1984年に原点回帰した新しい「ゴジラ」がつくられた。第一作から30年の節目の東宝によるセルフリメイクで、大学生だった俺も劇場まで足を運んだ。この時代になると原子力発電所が存在する時代になる。

劇中ではゴジラが井岡原子力発電所(仮名)を襲って破壊するシーンがある。モデルの発電所が実際にはどこかなのかはすぐ分かるだろう??


以後、ゴジラは原子力発電所に出没するようになる。

若狭湾(福井県)に出現 (ゴジラvsビオランテ 1989年)
伊方発電所に出現 (ゴジラvsデストロイア 1995年)・・なぜここだけ実名??

1954年の初代ゴジラの元ネタ事件の漁船「第五福竜丸」の母港は静岡県焼津市である。

そして1984年版のゴジラは静岡県の原子力発電所を襲って破壊する。

偶然だとは思うが、ゴジラと静岡県はなんかしら深い縁があるようである。


最後にマメ知識。ゴジラの命名はゴリラとクジラを掛け合わせて割ったもの。ホントだよ。子供の頃から知ってました。だって昭和版のゴジラシリーズは全部観ているくらいのファンでしたもの。