令和3年(2021年)4月21日、民法の一部を改正する法律と相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律が成立し、4月28日に公布されています。施行については公布日から2年以内とされています(相続登記の義務化等については3年または5年以内の施行)。

 

 

現行法下において,不在者財産管理人の管理財産が預貯金のみとなった場合,手続きが終了できるのか,またその終了のさせ方が明確でないところ,改正法では,こうした場合に,供託することができるようになりました(改正家事事件手続法146条の2)。

 

 

家事事件手続法

(供託等)

第146条の2 家庭裁判所が選任した管理人は、不在者の財産の管理、処分その他の事由により金銭が生じたときは、不在者のために、当該金銭を不在者の財産の管理に関する処分を命じた裁判所の所在地を管轄する家庭裁判所の管轄区域内の供託所に供託することができる。

 家庭裁判所が選任した管理人は、前項の規定による供託をしたときは、法務省令で定めるところにより、その旨その他法務省令で定める事項を公告しなければならない。

 

 

そして,管理された財産の全部が供託した場合には,不在者管理人の選任処分を取り消すことができるとされました(改正法147条)。

いつまでも管理が続くとすれば,その分管理人に対する報酬も発生することになりますし,特にすべきこともないのであれば,管理人としても早く選任を取り消してもらった方がよいからです。

 

(処分の取消し)
第147条
 家庭裁判所は、不在者が財産を管理することができるようになったとき、管理すべき財産がなくなったとき(家庭裁判所が選任した管理人が管理すべき財産の全部が供託されたときを含む。)その他財産の管理を継続することが相当でなくなったときは、不在者、管理人若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、民法第二十五条第一項の規定による管理人の選任その他の不在者の財産の管理に関する処分の取消しの審判をしなければならない。

 

これらの規定は保存型の相続財産管理人の場合にも準用されます(改正法190条の2)。

相続人不存在の清算型の相続財産の清算人の場合には最後は預貯金を国庫に納めて終了になりますが,保存型の相続財産管理人の場合,相続人が受け取らないなどしても供託により手続きを終了させることができるということになります。

 

 

第190条の2 相続財産の保存に関する処分の審判事件は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。

 第百二十五条第一項から第六項まで、第百四十六条の二及び第百四十七条の規定は、相続財産の保存に関する処分の審判事件について準用する。この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「相続財産」と読み替えるものとする。