令和3年(2021年)4月21日、民法の一部を改正する法律と相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律が成立し、4月28日に公布されています。施行については公布日から2年以内とされています(相続登記の義務化等については3年または5年以内の施行)。

 

 

 

現行法において,相続人不分明の場合の相続財産管理制度で最終的に相続財産が清算されるまでの期間は,最低でも10か月以上かかることになっています(①家裁による選任広告2か月間②管理人による相続債権者らに対する請求申出の公告2か月③家裁による相続人捜索の公告6か月)。

 

 

これでは手続きとして期間がかかりすぎるし,重すぎるという批判があり,今回,この期間を短くするように改正がなされており,家裁による選任公告と相続人の捜索公告は同時に行うことができるようになり,その期間は最低6か月とされました(改正民法952条2項後段)。

 

 

 

そして,相続財産の清算人(従来,相続財産管理人と称されていましたが,清算型の制度においては相続財産清算人と呼称も改められました)が,2か月以上の期間を定めて請求の申出をすべき旨の公告を行なうことは従来と同じであるものの,この広告は家裁が行う選任等の公告の期間内にしなければならないこととされました(改正法957条1項後段)。つまり,清算人の選任からか6か月程度で手続きが完了することになり,従来の10か月程度よりは短くなったということができます。

 

 

正直に言って,相続人もいない相続財産管理人の業務は,あまり期限なども気にせずにのんびりやっていたというところもあるのですが,この分野にもスピードアップの要請の波が遅まきながらやってきたということも言えましょうか。