離婚慰謝料は,①暴力行為や不貞行為などの個々の原因となった有責行為に対する離婚原因慰謝料と②離婚自体によって発生する離婚自体慰謝料とに分かれます。



このうち①を原因とする慰謝料(具体的な暴力行為や不貞行為など)について,それらの具体的な行為がなされたことを知った日から起算して3年の経過により消滅時効が完成します(民法724条)。



これに対し,②の離婚が成立したこと自体を請求の原因とする慰謝料については,離婚が成立した日から3年の経過により慰謝料請求権が消滅時効にかかることになります(最高裁昭和46年7月23日判決)。

 


なお,例えば不貞行為自体を知ったことは3年よりも前の出来事であるが,離婚自体は3年以内であるという場合に慰謝料請求するという場合に,不貞行為の事実自体に基づく慰謝料請求は消滅時効にかかっているのではないかと思われるかもしれませんが,離婚が成立したときに初めて損害の発生を確実に知ったものですので,不貞行為を理由として離婚に至ったものとして慰謝料請求をすることができます。