改正民法により,個人による極度額を定めない根保証契約は無効とされるなどの規定が新設されています。

 

 

【民法改正 個人根保証契約における極度額の定めなど】

https://ameblo.jp/egidaisuke/entry-12586888980.html

 

 

改正民法の施行時(令和2年4月1日)より以前に締結された保証契約については,なお従前の例によるとされていますので(改正民法附則21条1項),施行日前に締結された個人根保証契約はなお有効ということになります。

 

 

(保証債務に関する経過措置)
改正民法附則
第21条1項 施行日前に締結された保証契約に係る保証債務については、なお従前の例による。

 

ただ,主債務が施行日後に更新されたような場合に,当該主債務を保証する内容の保証契約について改正民法の適用があるかどうかについては問題となります。

例えば,施行日前に賃貸借契約や継続的取引契約について保証契約が締結されたが施行日後に当該賃貸借契約や継続的取引契約が更新されたような場合です。

 

 

この点については,保証契約自体について,施行日後に債権者と保証人が合意により更新した場合には,施行日後に保証契約が締結されたことになるので,改正法による規制が及ぶことになります。

保証契約自体に「保証人が異議を述べない限り」更新されるという更新条項があるようケース(黙示の更新)については,異議を述べないという不作為自体が保証契約の締結行為であると評価し,異議を述べずに保証契約が更新される期限の終期(その日までに異議を述べないと保証契約が更新される最終日)が施行日以降である場合には,改正法の適用があるものと考えられています。

 

 

これに対して,主債務が更新されれば当然に保証契約も更新されるというようなケースについては(一般的な賃貸借契約についてはこのような条項となっていることが多いものと考えられます),施行日以降に新たな保証契約が締結されたものとは評価できないとして,以前として旧法が適用されるものと考えられています。

 

 

なお,継続的取引契約においては,別途個別契約により取引がなされる場合があり,継続的取引契約が施行日前に締結されていたとしても,個別契約が施行日後になされこれについて保証がされたような場合には,当然,改正法の規定が適用されるということになります。