https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180110/k10011283251000.html?utm_int=news_contents_news-main_005

 

 

 

訴えによりますと、岐阜県で警備員の仕事をしていた軽度の知的障害がある30歳の男性は、親族に預金を使い込まれる被害を受け、去年2月、成年後見制度の利用を始めましたが、警備業法には制度の利用者を警備の業務に従事させてはならないとする「欠格条項」があるため、翌月退職を余儀なくされたということです。

欠格条項は成年後見制度が始まった平成11年にそれまでの「禁治産制度」から引き継ぐ形で定められ、当初から国会などで障害者などに対する差別だとして見直しを求める声が上がっていました。

その後、平成25年には東京地方裁判所が成年後見制度を利用すると選挙権を失うという公職選挙法の規定は憲法に違反するという判断を示し法律が改正されて投票ができるようになりました。

(1月10日NHKニュースウェブから一部引用)

 

 

記事中にも触れられていますが,2年ほど前に,吹田市の臨時職員が提訴したというニュースがありましたが,その後の続報がなく,どのような決着となったのかについては不明です。違憲の判断が下されたのであればニュースになっているはずですから,判決として判断が下されたのではないように思われます。

(成年後見制度利用で失職は違憲と提訴)

https://ameblo.jp/egidaisuke/entry-12054052345.html

 

 

その際にも述べましたが,後見や保佐といっても,判断能力の低下の程度はケースバイケースであり,一律に欠格条項として定めるというのはやはり無理があるように思われます。現行の後見制度は,ノーマライゼーション(能力の低下に応じて社会生活を送れるようにする)という理念があるということは物の本などにもよく書かれているのですが,このような一律の欠格条項があることはそのような理念とは背反するものと考えられます。

判断能力の低下が著しく,当該業務を十分に行えないというような状態であれば,雇用契約であれば配置転換や契約解除(普通解雇)するといった対応をすべきものではないかと考えられます。

 

 

被後見人の選挙権の喪失について違憲と判断した東京地裁の判決が下されたのが平成25年のことですが,それから現在までの間に,いろいろ法律に定められている欠格条項の廃止について議論が進められているようですが,立法を講じないという不作為が違憲違法とまで評価されるかどうかといったことが一つの争点となりそうです。