裁判を提起する場合,当事者の住所や氏名,不動産絡みの紛争であれば不動産の所在地などを正確に記載しなければなりません。





例えば,氏名であれば,「斉藤」と「斎藤」,「渡辺」と「渡邊」,不動産の表示であれば「1番1号」と「1番地1号」など,よく似ているけれど違うというのに気を付けなければなれません。法人名で,「サンキュー株式会社」と「サンキユー株式会社」など,小文字と大文字に注意したり,「サンキュー株式会社」と「サン・キュー株式会社」という具合に「・」(中黒)が入っている場合もあります。





訴訟では,住民票の提出は求められませんので,当事者が個人の場合にはその表記が住民票の記載と合っているのか間違っているのか裁判所(書記官)ではチェックのしようがありませんが(ただ,委任状の記載と訴状の表示が異なっている場合にはチェックが入ることがあります),法人の場合には法務局の謄本を添付しますので,謄本の表記と食い違っていると,たいていの場合には,書記官から訂正を求められます。





なぜ,当事者等の表示に気を使うかといえば,せっかく勝訴したりとしても,強制執行する際に,判決書などに記載された表記と強制執行の際に添付した謄本の表記とが食い違っている場合,強制執行できなくなってしまうからです。不動産に対して仮差押えなどの登記を入れたいという場合にも,表記がくい違っていると,登記できなくなってしまいます。




書記官がきちんとチェックしてくれるだろうと期待すべきではなく,あくまでも,当事者の責任で記載すべきものです。




私も,和解調書(判決書と同じ効力を持ちます)に,本来は「サン・キュー株式会社」と表示されるべきものが,「サンキュー株式会社」と記載されていたことがあります。




これは私が間違えたわけではなく,書記官のタイプミスなのですが,強制執行まですることになってしまい慌てたことがあります。




こういう場合,明らかに表示が誤っているということで,改めて「更正決定」の申立という手続をとって,さらに,更正決定そのものを債務者(被告)に対しても送達してもらわなければなりません。隠密裏に強制執行したい思っている際には,何とも間の抜けたことになります。





ですので,訴訟提起する際,判決書や和解調書などを受け取った際には,当事者名などが違っていないかどうかきちんと確認することが必要です。






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