公正証書遺言では不要ですが、自筆証書遺言などでは、相続発生後に遺言の検認という手続が必要になります。

 銀行などに遺言を提出する場合にも、検認手続を経ていないと受け付けてくれません。


 検認手続は、家庭裁判所に申し立てを行い、家裁は相続人に検認期日の通知を出します。

 検認期日というのは、その日に、遺言を検めますよという期日です。期日には出席しなくても構いません。


 よく誤解されているのですが、この検認手続というのは、遺言の有効性を確認するものではありません。

 その遺言の形状や状態について、あくまでも客観的に確認して、裁判所の記録に留めておくというだけのものです。

 少なくとも、検認手続以降は偽装の変造は防げるということになります。

 

 私も何回か検認手続に出席としたことがありますが、遺言について相続人間に争いがあるような案件ですと、同じ部屋に出席者がすべて一堂に会することになるので、大変なピリピリした雰囲気になります。


 一同集まったところで、裁判官が入室して、申立人が遺言の原本を提出します。

 そして、「青い字のボールペン様のもので書かれていますね」とか「上の辺りが一部破れていますね」とか確認しながら、書記官が調書ににまとめていきます。


 裁判官から出席者に対して「この字は遺言した人の筆跡ですか?」といった質問がされることもあります。


 提出された遺言は、入っていた封筒があればそれも含めて、裁判所でコピーされます。

 

 手続後は、裁判所に申請して、検認調書という書類をもらって、検認したことを証明してもらうことになります。

 遺言の原本は提出者に返還されます。


 この手続は遺言の有効性を決めるためのものではありませんので、検認期日の場で、「それは偽造されたものだ」とか言っても、「そういう手続じゃないので」ということで取り上げてもらえません。


 遺言の有効性を争うためには、別途、訴訟を起こさなければなりません。





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