離婚には、協議離婚、調停離婚、審判離婚、裁判離婚があるということは教科書にも書かれています。
このうち、審判離婚というのは実務上もほとんどなく、全離婚件数に対する割合も年間に1パーセントあるかどうかといった程度ではないかと思います。
審判離婚の法律上の根拠は家事審判法24条で、調停が成立しない場合に相当と認める場合に、家庭裁判所が調停委員の意見や一切の事情を考慮して、審判することができるということになっています。
よく、離婚自体には合意しているが細かな条件が詰まらずにあと一歩というときに審判離婚で決着をつけるなどと言われていますが、実際のケースでそのようなことはありません。細かな条件が詰まらないという場合であっても、審判で決着させることはなく、訴訟でやってくださいということになります。
では、どんなケースで審判離婚を活用するかというと、渉外離婚のケースです。
調停離婚においては、弁護士を代理人として付けていたとしても、調停成立の段階では当事者が出席していなければ調停を成立させることができません。
しかし、たとえば、日本人同士の離婚であっても、一方が国外に居住しているような場合に、その当事者の出席が困難であるというときには、審判離婚を活用するということになります。
たとえば、そのようなケースで、第一回目の調停期日では相手方の意向が分らず弁護士代理人だけ出席したところ、あっさりと相手方が離婚の意向を示したとして、「弁護士が代理人になっているのだから調停離婚できないか」と粘っても調停離婚は成立しないということになります。
そのようなケースでは、次の期日に持ち越しとなり、合意する内容の同意書に実印を押印してもらい、印鑑証明書を添付するなどして、審判離婚という形になります。
ちなみに、私も審判離婚は1件だけ経験がありますが、役所も慣れていないのか、戸籍には「調停離婚」と記載されていましたね。
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