僕俺のお笑い広報猛進中!
東京に状況したての頃は、いろんなものに興味を持ち、いろんな仕事を経験してみたかった。
日本の企業では絶対に受け入れられない仕事を転々とすることに対してわしはむしろ逆で、いろんなキャリアを積んだ自分を見せたかった。
だから水商売なんかもええ経験になるはずと思い、夜中2時に自転車で新宿歌舞伎町に向かった。
なんで自転車で夜中2時かとゆうと、だいたいの店長らしき人は2時くらいに手が空き、終電で面接行って始発まで寒い中ほっつき歩くのもきついので。
今のようにホストブームになる前に、そんな求人雑誌もほとんどなく、もうそれこそ飛び込みでそーゆー店らしき所に突然行って、面接してもらうというかなり豪快な生き方をしてたと思う。
間違えてドア開けたらカジノやってて恐ろしい空気を味わったこともある。
ま、そんなこんなで実際に入店が決まり、源氏名まで付けられることになった。
ゆうじ。
この由来はあんまり言いたくないので割愛するが、店では『ゆうちゃん』と呼ばれてた。
客全員が女の客で、くせの悪い客はほんまきつかった。
なんせ店もえげつなく、あの商売は二度とやりたくない。
店内には各テーブルを照らす照明が個別にあり、厨房からボタンを押して、一瞬ピカッと点けて消したら、何番テーブルに座ってるホストは厨房に来いとゆう合図で、案の定わしもそれに従うしかなかった。
で、行ってみると店長がまた嬉しそうな顔して何ゆうんかと思ったら、
「ゆうじ、お前そこのテーブルのボトル全部空けろ」
やて。
ホストが飲んで売り上げをあげるのが日常茶飯事のその店で、一気大会は死ぬほどやらされた。
ほとんどストレートのヘネシーを一気飲みさせられて救急車で運ばれる奴もおったりなんせ無茶苦茶やった。
態度の悪い客はほんま何しに来たのか知らんが、なんか機嫌が悪く、必死に話しかけてあげても無視しよる。
もう辛抱たまらんようなって、トイレに行ってはトイレットペーパーをガラガラ引っ張ってザーと水で流す。
このストレス解消法でなんとか頑張り、トイレの壁に貼ってある従業員の写真の中のわしを見て、勇気づけてた。
ほんでまた客も若いええ女の子だけならともかく、加齢臭しかせえへんおばはんらも続々とやってくる。
なんかそんな変な一気飲みが好きな二人連れのおばはんらは、三つ又にも四つ又にも別れたストローみたいなチューブをもってきて、グラスにそれぞれ、ビール、ウイスキー、マヨネーズをいれ、チューブの先を入れて吸うた時にそれらが混ざると悲惨なことになるみたいな仕掛けまで作ってきよる。
もう、負けたら最後、えらい目に合うのでジャンケンがめちゃめちゃ強くなった。
そのおばはんらもエスカレートしてきて、今度はそのおばはんらがクチャクチャに噛み倒して口から出したスルメを一気食いしようとかぬかしだしたので、さすがにその日を最後にホストを辞めた。
あんな重労働、二度としたくない。
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