どうしても紹介したい本がある(まだまだあるが今日はこの1冊)。加藤直樹氏による

「トリック~朝鮮人虐殺をなかったことにしたい人たち~」だ。以前、小池東京都知事が9月1日の関東大震災朝鮮人犠牲者追悼のための式典に弔意文を送らなくなったことについて、私は間違いだと書いた。関東大震災時に日本人(市民、警察、軍人等)が朝鮮人を虐殺したことは史実だと考えているからだ。

 

 証拠はあるのにないと言い、後で否定・訂正された言論を真実であるかのように持ち出し、仮に被害はあっても“実はそれほどでもなかった”と矮小化する、これらは「歴史修正主義」の常套手段。工藤美代子・加藤康男夫妻に始まる朝鮮人虐殺の否定は、百田尚樹の「日本国紀」なるトンデモ本でも紹介され、安倍晋三がそれを読んだなんて言うニュースが流れるに至って、行くと所まで行ってしまった感がある。

 

 近年強まるこの国の右傾化の中で、愚かとしか言いようのない言論・風潮が強まるばかりであり、小池知事の対応はそういう流れの一環であると私は考える。そんな反知性ともいうべき動きを止めるためには、本書が読まれるべきだと思う。このブログを読んでくださったあなた、ぜひ読んでください。

 

 さて、この4月、被災地である石巻市の市長選挙がある。現市長が引退するのだ。いろいろ言ってきたが、震災対応に当たったという点ではお疲れ様と言っておく。

 

 で、問題は後継者は誰かということ。ここにきて、またもや私の怒りを引き出さずにおれない事態が進行している。

 1月12日の河北新報が報ずるところでは、どうやら自民党系の勢力は勝沼栄明元衆議院議員(医師)を担ぎ出そうとしているのだそう。

断じてNOだ。私は絶対に認めない。

 全国の皆さんは勝沼という男を知っているだろうか? では、秋元司衆議院議員の名前は聞いたことがあるだろう。あのIR事業の関わる贈収賄事件で裁判中の被告だ(秋元は裁判中だが議員は辞職していないので、歳費という名の給料は満額支給されている)。勝沼は、この秋元と一緒に中国に行き、秋元から100万円を受け取ったとして事情聴取されている。運よくというのか、勝沼は起訴されなかったが、疑惑を人物であることには変わりはない。

 

 で、今回、市長選に立候補を求められたのに対しての勝沼の回答があきれる。あほらしいが記事を全文引用する。これを読んで“そうなんだ”と思う人はいるのだろうか?

曰く・・・

『・・・(落選後)民間人の立場での(中国)訪問だった。先輩議員(秋元)からもらったと認識していたが、昨年末に国境なき医師団へ寄付した。法的に問題はない・・・』

・・・だそうだ。いかがです? 納得できますか?

 

 疑問点を挙げる。

1.「彼は純粋な意味で民間人ではない!」

 彼は今も昔も「自民党員」であり、しかも「自民党宮城第5区支部長」なのだ。つまり政治的には決して民間人ではない。自民党員だからこそ秋元にくっついて中国へ行き、100万円もらえたのだ。ただ、当時秋元と違い、勝沼はその当時国会議員ではなかったので、職務権限がなかっただけのことだ

 

2.「先輩議員からもらっただけ、で通用するわけがない!」

 秋元派みたいなものがあるのなら別かもしれないが、そうでなければ、暴力団の親分子分の間柄でも、何の意味もなく100万円もの大金、だれがくれるものか。よくもまあこんな誤魔化しを言えたものだ。これで、人の命を預かる医師だというのだから信じられない。

 

3.「(もらった100万円は)寄付したから問題なのだ!」

 逆だろう。問題がないならもらっとけばよいではないか。持っておくとまずいから寄付したのだろう! 勝沼君!!

 子どもよりも質が悪いことを言うものだ。ならば賄賂をもらっても、ばれたら寄付すれば罪にならないというのだろうか? 違うだろう、収賄罪とは“賄賂をもらって、それに見合う行為(口利きとか)をした時点で成立する。後で返しゃいいというものではないのだ。勝沼は「自分には職務権限がない大丈夫」と高を括っているに違いない。でもって、そのあたりを突っつけば、どこかの総理大臣のように「それは皆さんの誤解です」と言い逃れるのだろう。

 平気でこんな発言をするような男を市長選に立候補させていいのだろうか? ちなみこの記事によれば、勝沼に市長選出馬を促したのは市内の若手事業者の団体なそう。

石巻の若手事業者とはこんなにも意欲不足の人ばかりなのだろうか? 

石巻の若手とはそれほどまでに人材不足なのだろうか?

疑惑まみれの男にすがらず、自ら立とうとする気概を持つ人はいないのだろうか?

 

・・・ただでさえ衰退の一途を辿る石巻、未来に期待は持てないな。

 

・・・・・今日のBGMは“Iggy Pop”の「LUST FOR LIFE」、今でも元気なイギー、音楽的な質は大したことはないかもしれないが、ここまでやりきる姿には感服だ。