私は高校教師になって10年目ですが、自分が高校生だったころと比べると、学校の様子は変わってきています。

 

ここ数年、ICT化の流れを受けて「一人一台端末導入」が進められてきています。

学校や個人でタブレット端末を購入し、それを授業で活用するというものです。小中学校ではもう少し前から進められていますが、高校では少し遅れて導入されました。

レポートをまとめたり、課題を提出したりと便利なツールです。教員によっては、授業プリントをデータで配布して、( )部分に入力させたり、Apple Pencilで記入させたりしています。高騰する紙の使用を抑えられます。

 

また、現在学校で頻繁に言われることは、「主体的・対話的で深い学び」の推進です。以前はアクティブ・ラーニングと言われていました。つまり、以前のような一方的な広義型の授業を脱却し、生徒自らが学び、教えあうというスタイルにグレードアップしようということです。

 

さらに、成績面では「観点別評価」が導入されました。従来の定期テスト重視の評価ではなく、①知識・技能 ②思考力・判断力・表現力 ③主体的に学びに向かう態度 の3観点を対等に評価しなさいというものです。これによって、テストだけでなく、プレゼンテーションスキルや授業への姿勢も評価することになります。

 

この他にも、「探求活動の推進」や「地域連携の活発化」、「部活動の外部委託」など学校に求められていることは多いです。

 

このように教育現場は日々変化を繰り返しています。

個人的には以上のような教育改革には基本的には反対なのですが、それはまた時間のある時にゆっくり述べたいと思います。笑

 

 

 

 

いきなりですが、こんな質問をします。

「この1か月で何冊の本を読みましたか?」

そんなことを言われてドキッ!としたひともいるかもしれません。

おそらく多くの人が1か月に1冊程度、もしくは全く読んでいない人でしょう。いやしかし、ブログを読んでくれている方は読書愛好家なのかもしれないですね。ただ申し訳ないけれど世間一般的には少数派でしょう。笑

 

 

財団法人の全国学校図書館協議会ではこんな調査結果が出ています。(以下)

 

『2022年5月1か月間の平均読書冊数は、小学生は13.2冊、中学生は4.7冊、高校生は1.6冊、不読者(5月1か月間に読んだ本が0冊の児童生徒)の割合は、小学生は6.4%、中学生は18.6%、高校生は51.1%となっています。』

引用:全国学校図書館協議会

 

 

興味深い点は、読書冊数が年を取るごとに減少していることです。まったく本を読まない高校生が全体の半分いるということが今回の注目点です。

高校生は日々の課題が多かったり(難しかったり)、部活動に割く時間が多いですから、自然と読書にあてる時間が少ないのかもしれません。

また、スマホの普及により読書量が少なくなっている現状もあります。

総務省の調査によると、

令和4年での高校生のスマホ普及率は97.3%で、インターネットの平均使用時間は5時間45分です。そのうち28.2%の高校生は7時間以上インターネットを利用しているとのことです。

 

スマホの普及に伴ってある問題が騒がれています。それは、中高生が教科書を読めないということです。

これは書籍「AI vs. 教科書の読めない子どもたち」(新井紀子 著)にも書かれています。

 

学校では教科書を使って授業が行われています。教員によっては「自作プリントを配布して、教科書なんかは一切使わない。」という崇高な態度をとっている人もいるようですが、これはホントはルール違反です。

学校授業では教科書を使わなければなりません。そもそも、教科書は多くの専門家や能力の高い教員達によって何度も検討を重ねて作成されているものです。それを一教員が作ったプリントで超えられるはずありませんよね。

もっと言ってしまえは、教科書の文章はその科目を選択する多くの生徒にとって理解できるように書かれています。だから、基本的には教科書をよんで、図や写真を見れば理解できるという風に作られています。

 

ただ、中には難しい内容があったり、ポイントを抑える必要があるので(特に重要でないものも含まれていますので)、そこを教師が生徒の実態を踏まえて教えるのが、授業の基本的なスタンスです。

 

 

しかし、現状はそうもいきません。なぜなら、生徒のほとんどは教科書を読めないからです。

教員あるあるですが、テスト前になると生徒が職員室に来て「先生。ここ教えてください。」と質問してきます。かわいい生徒のために教えるのは全く苦になりません。しかし、質問の内容が低レベルなことも多々あります。口頭やイラストを描いて説明するとすぐに納得して帰っていくのですが、「いやそれ教科書に書いてあるじゃん」なんて思うことはザラです。

生徒は教科書を読まないのです。いや、読んでも理解していないのです。

 

この問題を感じている教員、教育関係者は多いと思います。調査をしたわけではありませんが、私の身の回りではほぼすべての教員が同じ経験をしています。

 

 

そこで私はここ数年、生徒に対して、日常的に読書をするように勧めています。

もちろん彼らは読書の重要性は理解しています。ただ、スマホに夢中になったり、読書の楽しさがわからないから読んでいないのです。

だから、まず私は読書を課題とします。ここでのポイント「内容を限定しない。もしくは、広いテーマの本を課題とする。」ことです。

なぜなら、この課題は理解力を上げることが目的なので、継続しなければ意味がありません。読書を楽しいと思わせることと、興味のない分野を読ませるということは結びつきません。

好きな本に巡り合い、それを読み切ったときに達成感を得ることが読書を続ける秘訣なのです。

 

。。。と、偉そうに語っている私も本などとは無縁の生活を送ってきました。高校時代は部活動しかしていなかったですし、大学生になって少し専門書や小説に手を出した程度です。

しかし、ある時からyoutube の紹介で本を読むようになって、そこからだんだんと読書をするようになりました。今でもそんなに多いほうではありませんが、毎日本を読むようには努めています。

読書をして変わったことは、読むスピードが速くなったとこ、集中力が上がったこと、語彙力が上がったこと、スマホの利用時間が減ったこと、お金の無駄遣いが減ったことです。

もちろん今でもYoutubeもSNSも利用していますし、我慢しているわけではありません。ただ、自分の生活を見直すきっかけとして読書は低コストで高パフォーマンスな媒体となるのです。