風のマーサ、叫越と大彦越を行く(後) | 風のマーサ、街道を歩く(旅と古道と峠道のブログ)

風のマーサ、街道を歩く(旅と古道と峠道のブログ)

旅人、ヨガインストラクターの"風のマーサ"
です。
当ブログでは主に
旧街道、古道、峠越えなど
について書いています。
また、それらを
通して日本の美しい原風景を紹介出来たらなぁと
思っております。
是非、ご訪問ください。

こんばんは

風のマーサです😊


朽木の古道を歩く旅。

前回は桑原(朽木桑原)から叫(さけび)越の

峠を越えて北川の流域までやって来ました。

下に桑原から上村までのルート略図を載せておきますが、現在地はオレンジ印のところです。

北川を渡る(下写真)

少し深かったので素足で渡りました(汗)

〜前回投稿を参照

さて河原で少し休憩をしてから

雲洞谷の上村へと向かいます。

上に上がるハシゴがありました。

その先には堀状の道が続いています(下写真)


そして少しジグザグに登ると

道がない植林地になりますが

そのまま進むとすぐに道路が見えてきます(下写真)

この舗装道路は滋賀県道781号線で

そのちょうどヘアピンカーブの突端部分に

合流します(下写真)

左の登り方向に進むと能家、

右の下り方向に進むと上村です。

また、ここがサケビ越えの入り口に

なっているようで道標が立っていました。

針畑地域に向かうので針畑越え古道とも

表記されています(下写真)

叫越は針畑川流域と北川流域を結ぶ

峠の一つになります。

さて県道781号線で上村へと向かいます。

北川沿いに下っていくルートです。

舗装はされていますが

道は細くて山深い。

歩いていて飽きることがありません。


そして上村の集落が見えてきました(下写真)

右の山麓に家々が集まっています。

上村バス停を過ぎると

次に日吉神社があります(下写真)

さらに進むと、また少し家々があって

その先で橋を渡ります。

次に大彦越への谷に入りたいのですが

道路からは谷は見えてこないし、

入ることも難しそう。

昔の地図では、直接に谷に入るのではなくて

少し通り過ぎてから、引き返すようにして

谷に向かっているように見えます。


というわけで、

見当をつけて、この辺りかなぁと思うところを

入っていきます(下写真)

奥へと進みます(下写真)

一面に杉の植林地帯、

段々畑跡?のような中を谷のほうへ

向かって進みます。

何となしに道跡?があったので

それを辿るとすぐに目的の谷に着きます。


さて、いよいよ大彦越へ向かうであろう谷を

詰めていきます(下写真)

獣道のような細い道が左岸についているので

それを辿ります。

とはいうものの、この谷で良いのか?

少し不安が残ります。

するとすぐに炭窯跡がありました(下写真)

少し安心、古道はここを通っていたはずだ。

ほどなくして

少し広い所を歩くようになったところで

対岸(右岸)に渡るようにします。

辺りを良く見回すと、左の山腹に

切り返すように登っていく道があるのが

わかります。

(上写真、切り返すように登る。谷入り口方面を

向こう側に見る)


すぐにつづら折れで向きを変えます。

谷を右下に見て高巻いていくのですが

とてもしっかりとした広い道です(下写真)

道の印象としては

明治時代に作られた馬車道の雰囲気を

感じとりました。

とはいえ、倒木は多いです(汗)


さらに谷奥へと進んでいきます(下写真)

そうして、いよいよ本格的に谷から

離れて尾根に登っていきます。

このジグザグに登っていく部分は

道が崩れていますが

少しよじ登ると、はっきりと道があります(下写真)

ここからは、古道の雰囲気が漂ってきます。

また道は一気に標高を上げるように

続いていて、景色も明るくなります。

明るくなるとは、雑木林に変化したことを

意味しています。


山腹を回り込むようにして進むと

もう谷の気配はすっかりとありません。

尾根筋を登っていきますが

堀状の古道が見られます(下写真)

道幅は広いです。


次に右側に大きくカーブを描くように

なると堀切の古道と平たい道が並走する

ようになります(下写真)

(左の高いところには平たい道、

右には掘り下げられた道、が並走する)


他にも、途切れたように

別の堀切道がありました。

いろんな時代の道が混ざっているのだろうか。

そして尾根上に乗りました(下写真)

(大彦越の峠を含む)主脈から北西に派生する支尾根に

なります。

支尾根上を歩きます(下写真)

この先、尾根の高度差が高くなります。

それを効率よく進むために深く切り通しが

なされていました(下写真)

次に古道は

尾根から離れ山腹右を

巻いていくようについています。

(上写真、ここで尾根から離れていく)

(上写真、山腹を巻いていく)

巻道は、しっかりとした堀状の道です。

多少草木が生え込んでいますが

問題なく進めました(夏場はどうなのだろう?)


最後に一度切り返すようにして

登ると大彦越の峠に至ります(下写真)

標高511m

大彦越は雲洞谷の上村と岩瀬(朽木岩瀬)とを

結んでいます。

岩瀬の先は朽木の中心地、朽木市場になります。

大彦越は、針畑川流域、北川流域の集落の人々が
市場まで炭を売りに行った道、
また帰りには食料品などを買って帰ったこと
でしょう。

さて峠の上村側には
ちょっとした平地があって
お地蔵様が祀られています(下写真)
その隣りには小さなお地蔵もありますが
首がありません。

石碑もありました(下写真)

新道造立諸願?

新しく道を作るに際しての安全祈願だろうか。

文政?年。文政年間は1818年から1830年になり

江戸時代後期にあたります。


さて、この大彦越の峠自体は

高島トレイルのルートになっているようです。

(参考)コースになっているのは

稜線を歩く縦走ルートであって、峠道は

その範囲外です。


ここで上村〜大彦峠〜岩瀬の

ルート略図を載せておきます。

(上が北方向、赤が歩いたルート、緑が林道大彦谷線)


高島トレイルの標識によると

この地点は大彦越になり、それとは別に

大彦峠というのがあります。

略図におけるA地点になります。

そちらは林道大彦谷線の車道峠のことを

指しているようです。

さて峠から岩瀬方面へと降りていきたいと

思います(下写真)


(上写真、岩瀬側から見た大彦越えの峠)

岩瀬側の古道は

山腹を巻いていくようにして

緩やかに下っていきます。

全体的に明るく、清々しく道です。

時にはフカフカの落ち葉の中を歩いたりもした。

道の保存状態はとても良いです。

ただし1箇所だけ崩れてる所があるので

注意して進みました。



また、真下には舗装道路が見えてきます(下写真)

この道が林道大彦谷線になります。

古道は林道に対して随分と高い所を

通っているのです。

(上写真、林道を上からのぞく)

さらに山腹を巻きながら下っていきます。

すると、突如

道がなくなります。

どうやら、ここでジグザグに

降りていくように見えますが→→

何と道そのものが削り取られていた😱


下には林道が見えます(下写真)

おそらく林道を開削した際に

古道が削りとられたのだろう。

仕方がないので

細い足場?を手掛かりに慎重に

道路まで降りていきます(下写真)

やれやれ

何とか無事に降りることが出来ました😓

岩瀬側の道は

とても良い道なんだけど、最後がなぁ(汗) 


結論として大彦越から

安全に林道まで降りる最善の方法は

以下のルートだと思います。

→→まず大彦越(古道の峠)から稜線上を南に進む。

100mほど歩くと広い作業道が見えるので

それを辿って下に降りて行く。

すると林道大彦谷線に出る。

下略図における紫ルートです。

さて古道から林道に合流した地点から

ほんの少し先。

林道からは切り返すように

谷に降りて行くような

道筋が確認出来ました(下写真)

昔の道はつづら折れで一気に谷に降りて、

ここより谷筋を進んだのだろうか?

しかし、下に降りることは

辞めました。

どう考えても嫌な予感しかしないので

普通に林道を歩くことにしました。

その林道のほうも

やがて高度を下げて谷に

降りるようになります。

谷の名前は大彦谷。

林道を歩いていると

対岸には炭窯跡が見られました(下写真)

(上写真、拡大して炭窯跡の写真を撮る)

どうやら林道は左岸を進みますが、

古道は右岸を進んでいたようです。


その後、何度か橋を渡ります。

橋の竣工時期を見ると昭和48年〜昭和50年。

林道が作られたのも大体、同じ時期だろうか。

そして林道も終点までやって来ると

獣柵がなされています(下写真)

柵を開けて岩瀬に出てきました。

(柵を開けたら閉めること)

ようやく岩瀬にやって来ました(下写真)

この道を直進すると国道367号線に合流します。

国道367号線は、敦賀街道と呼ばれる道筋で

鯖街道の一つでもあります。

あとは国道を進み、また旧道に入れる所は

そちらを進むと、ほどなくして朽木の中心地域

朽木市場にやって来ます。

(上写真、朽木市場の様子)

昔の人は、この後

もと来た道を帰っていくことを

考えると、その大変さが

窺い知れます。


後は交通機関を利用して

帰りました(汗)

(今年の4月下旬の頃)


参考)北山の峠(下) 著者 金久昌業 ナカニシヤ出版

滋賀県道路地図 県別マップル25

      アプリ ヤマレコ、古地図散歩など