その時、電話の会話は盛り上がっていた。
でも…そのうち…
…なぜか…誰かに見られているような…そんな気がしてきた。
イヤ、確かに見られている!
会話の途中で思わず振り返った。すると…その眼はあった!
彼女の視線は確かにこちらに向けられていた。
澄んだ瞳だった!
可愛かった!
彼女を見つめ返した。
電話はいつの間にか切っていた。
特に会話もなく、お互いただじっと見つめ合っていた。
でも彼女の一点を見つめる眼差しは、時折淋しげにも見えた。
そのうち…彼女が愛おしく思えてきた。
…彼女を愛したいと思った。
彼女に対して頑張りたいと思った。頑張れると思った。
愛するって気持ちは、愛そうとする想い…。
そして『愛するとは頑張る事』だワン!
でも今頃は飼い主の家でドッグフードを喰っているに違いない。
