病院から連絡があった。


「家に帰ると言っているので、説得にきて欲しい。何時に来れますか?」


折り返すことにして一度電話を切った母は


「もう家に帰ってきていいよ…」


とため息をついた。


病院に行く前に確認しておかなければいけない。

母に私は聞いた。


「お父さんの気持ちに関係なく、

ママは本当はどうしたいの?」


母は


「施設に入ってほしい気持ちとお父さんの気持ちを尊重させてあげたい気持ちが両方ある。

だけど現実的に考えると施設に入ってもらう方が大きい。」


今回家に帰ってきてまた何かあったとしても、

もう救急車で運ぶことはない。

なぜならもう治療をしても無駄だから

病院では受け付けないことになったのだ。


母は若干迷いながらも

基本は施設に入ってもらうスタンスで

病院へ向かった。


今回は病棟に入れていただき、

父と直接話をすることになった。

父は寝ていた。


少し待っていたが、起こしてみた。


「誰かわかるかい?」


父は母と私をみた後右上の方を見た。


私「誰かいるの?」


父「私のお母さん」


私「お母さんはどんな顔をしている?笑ってる?怒ってる?」


父「普通」


私「そうか、話を聞いてもらいたいんだけど、聞いてもらえる?」


父「うん」


私「妹も入れて3人で話し合ったんだけど、

コロナから退院して帰ってきて今回の入院までの間で、お父さんがどんどん弱って行く姿を見ることはとても辛かった。悲しかった。何もできなくて見ていられなかった。

だから、申し訳ないけど、プロの完璧なケアを受けてもらいたい。という結論になりました。」


「おばあちゃんは何か言ってるかい?」


父「何も言っていない」


私「どんな顔をしている?」


父「普通」


私「怒ってはいないんだね?」


父「うん」


母「わかってちょうだい」


父「いいよ」


私「話を聞いてくれてありがとう」


母は父が時々咳き込む様子を見て、

やっぱり家では無理って感じたようだった。


看護師さんに話をしたことを伝えに行った。

看護師さんからは、


「点滴も拒否しているので、尿もほとんど出ていない状態だから、いつどうなってもおかしくないです。

今は痰の吸引と酸素は拒否しないので、苦しい時は酸素の吸入をしています。

いよいよという時は連絡しますが、間に合わないかもしれません。」


と説明を受けた。


他の患者さんも含めおむつ交換タイムとなり、

ここで帰ることになった。


最後に父は

長かった髪をバッサリ切って

髪も明るい色に染めた私を覗き込み、

言葉にはしなかったが

昔もそうだったように

変な髪型にしたな(笑)という表情を見せてくれた。


「じゃあね、バイバイ」


病院を後にした母と私。


説得というよりは最後かもしれないから、

病棟に入れて会わせて下さったのだなぁ🙏


おばあちゃんは父が家に帰れないから

母と私の代わりについていてくれているんだな。


おばあちゃん、ありがとう🙏



え?何?

護国神社に来いって?

おじいちゃんにもきてもらう?

わかりました。

明日は仕事だから早起きしてお参りします。



本日もお読みくださり、

ありがとうございました😊