この小説の1つ前に出した、「マグカップとシンク」の数年後を書いた続編となってます。


まだ前作を読んでないよ〜って方は先に読んでからこの話を読むことをオススメします!



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 私があの家を出てから数年が経ったある日、偶然あの人を見かけた。

 

 向こうも私に気づいたようで手を振って駆け寄ってくる。

 

 

 

理佐「久しぶりだね。」

 

由依「うん、久しぶり。」

 

理佐「元気…だった?」

 

由依「う、うん。まあね。」

 

 

 

 神様のいたずらか、もう二度と会わないと思っていた人。

 

 もう二度と会いたくないと思っていた人。

 

 そう思っていたのにいざ会ってみると愛おしく懐かしい。

 

 

 

理佐「せっかく会えたんだし、近くのカフェでも行かない?」

 

由依「そうだね。」

 

 

 

 久しぶりに歩く理佐の隣。

 

 付き合う前から好きだった理佐の綺麗な横顔。

 

 ふと微笑んだ君が幸せそうに見えて私の胸の奥がざわついた。

 

 

 

理佐「ここのパンケーキすごく美味しいんだよね。由依は何にする?」

 

由依「これとこれで迷ってる。」

 

理佐「そしたら2つとも頼んで半分こしよ!あと、飲み物はアイスコーヒーかな。由依はブラックでしょ?」

 

由依「よくわかってるね笑」

 

理佐「あったり前じゃーん!すいませーん。これとこれと、あとアイスコーヒー2つお願いします。」

 

店員「お砂糖とミルクはどうされますか?」

 

理佐「大丈夫です。」

 

店員「かしこまりました。」

 

 

 

 理佐ブラック飲めるようになったのか。

 

 そりゃこれだけ時間が経てばそうか…。

 

 

 

店員「お待たせしました。アイスコーヒーになります。」

 

理佐「ありがとうございます。っ…やっぱブラックは苦手だなぁ。」

 

 

 

 懐かしい。

 

 理佐がブラック飲んだときのこの顔。

 

 

 

由依「砂糖とミルクもらえばよかったじゃん。」

 

理佐「だって特別なときはブラックって決めてるんだもん。」

 

由依「なんでよ笑」

 

理佐「由依が最後に淹れてくれたコーヒー、そのまま飲んだんだ。最後ぐらい何も手を加えずに飲んでみたくて。」

 

由依「飲んでくれたんだ。」

 

理佐「めっちゃ苦かったけどね笑。それ以来何か特別なことがあるときはブラックにしようって決めてるんだ。」

 

 

 

 それが理佐なりのけじめなのかこだわりなのかはよくわからない。

 

 あのときもっと気持ちを素直に話せていたらどうなっていたのだろうか。

 

 私があの家を出てからずっと心のどこかに引っかかっていた、言えなかったこと。

 

 『愛してる』

 

 自分から別れを告げて理佐の前から消えたくせに、会った瞬間言葉にしたくなるなんて。

 

 

 

由依「最近何してるの?」

 

理佐「あの頃はアシスタントだったけど、今は自分のカメラで好きなものを沢山撮ってるんだ。あ、今度写真展やることになったから見にきてよ!」

 

由依「写真展?すごいね。しかもこの会場って有名な写真家さんが使う場所じゃん。」

 

理佐「先輩に色々教わりながら頑張ったんだ。」

 

 

 

 やっぱ理佐はすごいや。

 

 私なんかよりもすごい道を歩いてる。

 

 理佐の目指す道、一緒に歩みたかったな…。

 

 時間を巻き戻してあの頃に戻れたら、もっと素直になれるのかな。

 

 

 

理佐「由依は何してるの?」

 

由依「ん?私はね…普通の会社員だよ。」

 

理佐「広告代理店だっけ?」

 

由依「…うん。」

 

理佐「そっかぁ。」

 

 

 

 互いの近況報告。

 

 でも私は嘘をついた。

 

 理佐と別れてから少し経った頃、会社も辞めた。

 

 理由は病気。

 

 今は薬でなんとか落ち着いてはいるが、当時は死ぬほど辛かった。

 

 心配させるのも嫌だし、私のせいで歩むべき道を邪魔するのが嫌だったから理佐には何も話していない。

 

 あの日家を出た日、理佐は言いずらそうにしていた私に気づかないふりをしていた。

 

 それが理佐の優しさなんだろう。

 

 特に理由を深く聞いてくることもなく、私を送り出してくれた。

 

 

 

由依「理佐…」

 

理佐「ん?どうした?」

 

 

 

 美味しそうにパンケーキを食べる理佐の目を見ながら考える。

 

 今ならあの時の想いを…、いや、

 

 

 

由依「…ううん、なんでもない。」

 

 

 

 言葉に出したら今まで耐えてきたものが崩れてしまいそうで、何かが消えてしまいそうで。

 

 

 

 

 



 

 

理佐「今日は楽しかったね。」

 

由依「うん、そうだね。ありがとう。」

 

理佐「またいつでも連絡ちょうだいよ。色々美味しいお店行こう。」

 

由依「わかった。」

 

理佐「うん、じゃあ、また!」

 

 

 

 結局言えなかったこと。

 

 でもそれはもう二度と言うことがない。

 

 病院の先生曰く、そろそろ心臓が限界みたいだから。

 

 今日までもっているのが不思議なくらいだそうだ。

 

 おそらく理佐の写真展にも行けないんだろうな。

 

 この世界の物語を書いているのが神様なら、どうせ書くなら喜劇でいいのに。

 

 丁寧に不幸までばら撒いて悲劇を書こうとするのだろうか。

 

 神様のペンを奪えたら私の運命は書き換えられるのだろうか。

 

 神だかなんだかしらないが、所詮運命なんて誰かが書いたシナリオ。

 

 そのシナリオにピリオドを打てたら…。

 

 そして運命に逆らうことができたら、そのピリオドの先の新しい私の物語が描きだせるのだろうか。







楽曲

言えなかったこと

はじまりのピリオド

(両曲ともThinking Dogs)


登場人物

小林由依 (元櫻坂46)

渡邉理佐 (元櫻坂46)



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どうも、ぽんです。


今回は坂道グループではないのですが、坂関係のドラマとか映画の主題歌を担当することが多いアーティストさんの楽曲で書いてみました。


前作のマグカップを書いてるときに、「この曲でどうオチをつけようか…」って迷ってたんですけど、「よし、違う曲で続編にしよう!」ってどちらかというと無理矢理繋げたかんじです笑




歌声とか歌詞とか好きで、イントロから引き込まれるような2曲なんですけど、知ってるよ〜って方どれぐらいいるのかしら?笑


前半は飛鳥ちゃんがヒロイン役の映画、「あの頃、君を追いかけた」の主題歌として使われた楽曲です。


私はこの映画がきっかけでThinking Dogsさんを知りました笑



後半はひかりTVオリジナルドラマとして配信された「ボーダレス」の主題歌です。


あのドラマいいですよね。


私4周ぐらいしました笑




Thinking Dogsさんは櫻坂とかと同じSeed&Flower所属なんですけど、他にもめちゃくちゃいい曲ばっかりなので是非聴いてみてください!!


では、あじゃじゃした!