ディナー会場の席でエミキュールは一人考えこんでいた。暫く考えた後に「生中おかわり」と三杯目を頼んだ。そしてビールを持ってきたウェイターに「トリックは分かりました」と告げた。ウェイターは驚きのあまりひっくり返って転んでしまった。エミキュールはこう続けた。「何も慌ててひっくり返る事はありませんよ。名探偵エミキュールの仕事は殺人事件だけです。今回の賭けについては不問とします」

エミキュールはウェイターと同席の女と男にこう言い残して船室に戻っていった。明日からのバカンス地に備えてエミキュールは深い眠りについた。


豪華旅客船編 完