忘れられない「志願理由書」。 | エフォートアカデミー塾長日記

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静岡県三島市の学習塾「エフォートアカデミー」のブログです。
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私は中学受験の「志願理由書」の作成については、かなり「介入」します。というか、ほぼ私が作成することが多いという事実は、当塾のOB・OGであれば誰でも知っていることでしょう(笑)。それほどこの「志願理由書」が合否において大きな意味を持つのです。

 

塾生の合格のため、それこそ必死に書き上げる「志願理由書」ですから、毎年コピーを保存して翌年以降の参考資料とするのですが、ある年の一部のみ、どうしても見つからないものがありました。もう3年も経過してしまっていたため、半ば諦めていたのですが、今も塾生である当時の受験生であったA子さんが自宅にコピーを保管しているとのことで、持ってきて頂きました。

以下、プライバシーに関わる部分を除いて、書き記したいと思います。

 

「今年の9月、私は母に連れられて〇〇中学のオープンスクールに参加しました。母にオープンスクールへの参加を誘われた時は、正直なところあまり乗り気ではありませんでした。

 

けれども、オープンスクールに参加したその日から、私は「どうしてもこの学校に入学したい!」という気持ちが強くなりました。

 

私には姉がいるので、学区内の中学を何度か訪れたことがあるのですが、その中学校とは比べものにならないほど設備が充実していて大変驚きました。私の夢は中学・高校としっかり勉強して大学に進学し、看護師となって病気に苦しむ人々を手助けすることです。この学校に入学することができれば、私の夢もきっと実現できるはずだと強く感じています。入学試験まで残りわずかですが、自分の夢を実現させるため、頑張ろうと思っています。

 

最後に、私に本校を志望するきっかけを与えてくれた母が、11月28日に亡くなりました。母は亡くなるその日まで、私の受験のことを大変心配していました。今は家族で悲しみに暮れていますが、私は勿論のこと、母にとっても念願であった本校への合格のため、一生懸命に勉強しているところです。

母に中学生となった私の姿を見せることができず、本当に残念ですが、必ず入学試験に合格して、いつの日か母のような病気に苦しむ人々を癒すことができる看護師になりたいと、決意を新たにしています。

母のためにも、私自身のためにも、頑張って生きていきたいと思っています。」

 

日付を見ると、「12月4日」となっていました。まさに出願期限ギリギリのタイミングでした。お母様の急逝を受け、急遽大幅な改編を大急ぎで行ったため、「控え」を残すゆとりがなかったのでしょう。私自身も、お母様の亡くなる2日前に、

 

「娘の志願理由書、くれぐれもよろしくお願いいたします。」

 

という内容のLINEを頂いておりました。30年近く学習塾に携わっていますが、最も「忘れ難い出来事」であったことは確かなのです。

受験を目前にして突然母親を亡くすという事実は、小学6年生の女の子にはあまりにも重い現実であり、本来であれば中学受験どころではないはずです。葬儀にも参加させて頂きましたが、姉妹(A子さんの姉も私の教え子でした)の憔悴した様子には、かける言葉も見つからないほどでした。今でも胸が締め付けられるような気持ちがします。

 

「お母さんが死んで、受験にも落ちたら、きっと私は生きていられなかったよ!」

 

今となっては冗談半分に話しているA子さんも、当時は気丈に振る舞ってはいたものの、不意に涙があふれて止まらなくなったことが何度もあったとのことでした。それでも「初志貫徹」し、見事に合格を勝ち取ったA子さんは、実に立派だったと心から感じています。

 

早いものであれから3年の月日が経過し、中学3年生になったA子さんは今も当塾の「塾生」です。本日の授業で大学進学についての相談を受けました。進学について、必ずしも積極的でなかったA子さんから初めて進路の相談を受けて、亡くなったお母様のことを思い出したのです。

 

お母さん、A子さんの「夢」はちょっと変わったけれど、着実に自らの未来について、思い描こうとしていますよ。空の上で見ていらっしゃるのかな?

もう少しだけ、生きていてほしかったと、今更ながら強く感じてしまいます。

 

「たかが受験、されど受験」

 

来春に受験を迎える受験生やそのご家族の皆様は、魂の炎を燃やして懸命に取り組んでおられるでしょうか?今際の際まで我が子を案じ、悲しみに暮れながらも魂の炎を燃やしながら受験生活を全うした「小学生」がいたということを、ぜひ覚えておいて頂きたいと強く願います。

「受験」とは、心血を注いで挑む「価値」がある、人生の一大イベントであると、私は考えているのです。

 

頑張りましょう!