人間のモチベーションを維持するということは、なかなかに難しいことのようです。スポーツなどにおいても、昨今はメンタル面の重要性が叫ばれており、指導者の資質として技術面以上に「モチベーターであること」が重視されるケースもあるようです。
それでは、人間の意欲を喚起するためにはどのようにすればよいのでしょうか?中高生の勉強などでは、親が、
「成績が上がったら、スマホ買ってやる!」
などと、子供の鼻先にニンジンをぶら下げる手法をよく見ますが、決して感心できる手法ではないと私は思います。第一、人間は馬や牛ではありませんし(笑)、この手法の理屈でいえば、子供からの要求はどんどんエスカレートし、最終的には、
「エサがないと動かない子」
になりかねないと考えます。物や金銭以上に、子供にとって「価値のあるもの」を自覚させることが重要なのではないでしょうか?
そろばんにおいては、モチベーションの維持という面で、好ましい情景が見られます。
そろばんには定期的に「検定試験」があるのですが、合格すると賞状と小さなシールがもらえます。そのシールには「〇級合格」と記載され、合格するごとに自らのそろばんの枠にシールを貼っていくのです。
既に「段」を所持している子のそろばんには、そろばんを囲むように合格シールがベタベタと貼り付けられているのですが、特に小学生低学年の子から見れば、そのシールだらけのそろばんが、ある種のステータスに感じるようなのです(笑)。難しい見取り算を練習している上級生の「そろばん」を、羨望の眼差しで見つめている子を何人も見てきました。
決して豪華とはいえない賞状と、本当に小さなシールが、そろばんを学ぶ子供たちにとっては大変価値があるものとなっているのです。子供たちにとっては、そのシールを獲得すること自体がステータスであり、自らが「賢くなった」と自覚できる、確たる「証拠」なのでしょう。
鼻先にエサをぶら下げる手法は、大人にとっては実に「手っ取り早い」手法でしょう。けれども、子供自身が自ら価値を認める、大人から見れば「つまらないご褒美」こそに、本当の意味での子供のモチベーションを高める要素であるような気がしてならないのです。
「モノ」や「カネ」で子供を「釣る」のは、子供にとっても親にとっても、あまり褒められたことではないのかもしれません。
頑張りましょう!

