7月3日6時50分に自宅を出る。今回からは先の琵琶湖一周徒歩紀行の旅で気になっていた場所を訪れたいと思う。

  

 マキノ町について、町名の由来がマキノスキー場にあることを知りましたが、スキー場周辺の地図を眺めていると、福井県との県境近くに在原という集落があり、茅葺き屋根の民家が残るという情報が気になりました。

 『和名抄』によると、古代この付近は高島郡鞆結(ともゆひ)郷にあたりますが在原の名は見えない。

 わずかに『大日本地名辞書』に、鞆結郷は中世以降に見之曲(けんのくま)、剣熊と改められ、剣熊村の小字として、在原がみえます。

 在原集落には在原業平伝説が残されています。

 業平が晩年に隠棲した、というもので墓まであるという。

 業平伝説は京都市西京区の十輪寺や岐阜県垂井町の薬師寺など各地に残されているけれど、我家の系図にも、始祖の大江音人の弟として載っています。

 これは行かずばなるまい。

 しかも、業平園という蕎麦の名店があると聞いてはなおさらである。


 今回からは、必ずしも徒歩に拘らないことにした。暑いシーズンに無理して歩き、熱中症になっては元も子もない。


 JRマキノ駅から10時発のコミュニティバスで白谷温泉まで行き、そこから徒歩しか手だてがない。雨天も予測されたので、レインウェアを着て家をでたがJRの車中で脱いだ。


 バスを白谷温泉で降り、歩き始めた。ここまで20分。雨より、高島市が出している熊出没情報が頭をよぎる。もし、出くわしたら戦うのみ。背中を見せたら襲われること必至。睨んで、ストックを振り回す覚悟。


 アスファルト舗装の緩やかな登り道が約4.7km続く。汗はかくが、涼しい風が心地よい。

 

 11時30分 休耕田が見えてきた。集落が近いぞ。よく見ると、2箇所ほど獣を捕獲するための檻仕掛けが設置されている。狙いは何だろう。

 11時43分 目標の蕎麦屋、業平園は集落の入り口にあった。事前に電話するように書いてあり、昨日と今日は車中から何度かけても繋がらないので、開店しているのかどうか不安を感じていたのでひと安心。



 店内は手作り感あふれる作り。どうやらお茶などはセルフサービスのよう。

 

 本日の天ぷら600円とざる蕎麦700円を注文した。厨房から蕎麦を打つ音が聞こえ、待つことしばし。

 盛りだくさんの天ぷらが鮎など7種と続いて不揃いに切られた蕎麦が運ばれてきた。

 天ぷらの量の多いこと。せめて天つゆが欲しいところだが、卓上にはトントンしないと出てこない味塩の瓶があるのみ。ほとんどは用意のビニール袋に入れて、お持ち帰りです。

 さて、評判の蕎麦はいかに。つなぎに山芋を使っているとかで、コシはあります。注文を聞いてから打つと聞いていたので、待つことは覚悟の上だ。

 来ました。量的には十分です。ただ個人的な好みでは、ざる蕎麦は喉越しを大事にしたい。つるつるとたぐるには、やはり太さは揃えたいところかな。

 問題は、蕎麦つゆ。自家製干椎茸からとった出汁と地元の醤油で作るというが、しょっぱい。しょっぱすぎて風味も何もあったものではない。さては薄めるのを忘れたのかと疑う。

 セルフで薄めようにも卓上にはやかんに入った熱い茶があるのみ。つゆにつけるのではなく、つゆをつけて食したことです。

 なお、これは予想が当たり、メニューにアルコール類の記載なし。そこはぬかりなく、ペットボトルに七本槍を持参しましたよ。

 


 ご主人の池田武治さんは54歳でこの店を始め、農業のかたわら集落でたった一人の猟師として、鹿、猪、熊を狩る。83歳には見えない話し好きで元気一杯の好人物。業平には生涯3千何人の女性がいたとかの話で盛り上がり、ついつい料理についての感想を言いそびれてしまった。

 帰りに生の鹿肉を400gほどわけて貰った。これは用意の保冷バッグへ。帰ったら塩漬けにしてハムに作り、燻製したら珍味にしよう。