6個目の夢 2
俺は続いて紫の蝋燭に手を伸ばした。
「賢吾ォッ!!逃げろ!!」
追いかけてくる敵を撃ち落としながら俺は賢吾という仲間に呼びかける。
「 !!でもお前は・・・!!」
「生きてたら、会おうぜ!」
俺がそう言うと、賢吾は一瞬泣きそうな顔をし、瞳に迷いを見せたが、しっかりと瞳を据えると頷いた。
「・・・ッ!絶対だからな!!生きて帰って来いよ!!」
賢吾が走り去る中、俺の視界は目の前に広がる爆弾の山。
明らかに1人では解除しきれない量が設置されていた。
その爆弾に向かいひたすら銃弾を打ち込み、爆弾の時間を止める。
打ち続けることで減る銃弾。
リロード時間も惜しいため服のしたから次々に予備の銃を取り出しては使いきり、投げ捨てる。
そして最後はレーザーガン。
そいつで最後のひとつを打ち抜こうとした瞬間、視界は赤々と染まった。
『・・・死んだのか?お前・・・・・・。』
まだかすかに息がある俺にシェリルが呼びかける。
もちろん聞こえているはずなんかないのだけれど。
『・・・・・・殺さなければ、俺は殺られる。だから、引き金を引いたんだ。』
そう言って俺が使っていた拳銃を拾い上げ、じっくりと見ていた。
『けれど・・・本当はどこかで死にたい。そう思っていた。それは、お前もだろう?』
そう。俺も死にたいと思った。
どうして俺が、人を殺さなければいけないのか、組織に入った頃は考えもしなかったけれど。
今思うと、理由が分からなくて、混乱していた。
人を殺すことに罪悪感を覚えなかった今までの俺が不思議でたまらなかった。
『だから、俺はお前を、殺したんだ。』
そう言いながら、シェリルは自分のこめかみに銃を突きつける。
『でも死にたいのはお前だけじゃない。俺もだ。』
「俺の罪悪感や残忍性から君は生まれたんだね・・・ごめんね。シェリルも苦しかったんだね・・・。」
紫の蝋燭は消えていった。
「さて、最後にカイトの黄色の蝋燭ですが。」
死に神が黄色の蝋燭を持ち、俺に言う。
「カイトに罪の記憶はありません。」
「・・・どうして?」
「カイトは、貴方が生まれる前の記憶の一部。純粋でまっさらなままの貴方の記憶。いわば、何も記録されていないメモリーカードのような状態です。」
そういわれて、そっと手渡される黄色の蝋燭。
生まれる前の記憶だから、特に俺の記憶もカイトの記憶も再生されることなく、蝋燭が消えた。
――貴方、私子供を授かったの――
――そうか!よくやった!!――
――それでね、名前を決めようと思うの――
――予定日は?――
――予定日は春・・・だから・・・この子の名前は・・・――
「俺の名前は・・・春。」
室内が万華鏡のようにキラキラと輝き変わる。
気がつけば、死に神の書斎だろうと思われる場所に俺と死に神、カイト。
そして、シェリルたちが並んでいた。
「・・・これで晴れて貴方の記憶は繋がった。残忍性から生まれたシェリル。それは貴方の剣。」
「虚無感から生まれたウェルダー。それは貴方を守るための盾。」
「強制された学問から生まれたノエル。それは貴方の知識。」
「生まれる前の貴方から生まれたカイト。それは貴方の道標。」
一言ひとことを区切りながら死に神は言う。
その言葉に1人ひとりしっかりと春を見る。
「貴方の名前は、春。これで、貴方は死亡証明書が受け取れる。」
死亡証明書に俺の名前を書き、卒業証書のように筒に入れられたそれを差し出された。
これを受け取ってしまえば、俺は生を再び受けるために、再生へと向うことになる。
でも・・・
「なぁ・・・これを受け取ったら・・・シェリルたちはどうなるんだ?」
俺の質問に俺以外の皆がきょとんとした表情でいた。
しばらく死に神は黙っていたが、一言
「消滅します。」
と、言った。
「・・・・・・それって、何か・・・おかしくないか。」
「何を言っているのです?所詮彼らは貴方の記憶の一部が具現化したようなもの。次に生を受けるときにはもう不必要なものです。」
「記憶ってさ。無いと駄目だって言ったの・・・そっちだろ・・・?せっかく集めた記憶なんだぜ?なのに、不必要って何?そりゃあ、次の生を受けたときに、人を殺してきた記憶とか、薬漬けされた記憶とかいらないよ。ずっと過去の記憶に悩まされて、苦痛かもしれない。けれど・・・彼らにだって・・・元々は俺かもしれないけれど、ここに存在してるんだ・・・1人の、存在として。」
俺の言葉にシェリルたちが目を見開く。
「記憶の欠片を集める中、俺のことを必死になって守ってくれた・・・それでも・・・不要?不要なんかじゃないよ!!俺にとっては大切な仲間なんだよ!そんな仲間を消滅の一言で片付けるなよ!!!」
俺は死に神の手から死亡証明書を叩き落した。
まさか払われてしまうとは思ってもいなかったのか、死に神は驚いた様子で、どうすればいいのか分からないといった感じだ。
「所詮死に神さんは、魂が早く片付けばいいなってしか思っていないんだな。」
「・・・・・・そういわれると、返す言葉もありません。それが死に神の仕事なので・・・。」
今まで無表情か微笑しか浮かべていなかった死に神の表情が不安と迷いの色に染まっていく。
でも声は落ち着いたままで喋り続ける。
・・・もしかして、この死に神は・・・――
「・・・アンタ、もしかして、自分の感情が分からないのか?」
俺の問いかけに死に神は理解できていないようで首をかしげる。
「感情・・・?」
「そうか。アンタには感情が分からないんだな。」
そう言って死に神を抱き寄せる。
突然の俺の行動に死に神は戸惑いを隠せず、困惑の表情を見せる。
「意味を理解できないのですが。」
「・・・いいよ。別に理解してくれなくても。でもさ、俺はいつかアンタが感情を理解してくれればいいと思う。」
可哀想。この死に神は自分のことすらわかっていなかったのに、俺たち魂を導き続けてたんだな・・・。
でも、この死に神は俺の記憶の一部じゃない。
だから、死に神のことを知ることができない。
「・・・春・・・貴方は死亡証明書を受け取らない・・・それでいいのですね・・・?」
「ああ。構わない。」
「・・・受け取らないということは、二度と生を受けることは出来ないのですよ。」
「・・・構わない。俺は、皆と一緒にいられるなら。それで。」
シェリルたちも死に神を囲むようにして自らの死亡証明書を死に神へと返した。
「こんな私でも、シンは必要としてくれる。」
「俺だって、シンと分かれたくない。」
「自分・・・もう会えない・・・寂しい。」
「やっと出会えた私。沢山私とおしゃべりをしたい。」
シェリル、ウェルダー、ノエル、カイトの順にそう言うと、俺のほうへと下がる。
死に神は受け取ってもらえなかった死亡証明書を拾い上げると、テーブルの上に乗せた。
「・・・ならば、お行きなさい。私には、もう・・・貴方たちを導く必要はないですから・・・。」
何処か寂しげに言う死に神。
それを俺は見逃さなかった。
そして俺たちは再生の望まず、輪廻の輪から出て行った。
UGに1人残された死に神。
助手であったカイトすら鋳なくなった今、本当の意味で1人になった。
「・・・・・・私も貴方たちのようでありたかった。」
死に神が書斎の本棚の後ろにある隠し部屋を開いて、そこにあるものを見る。
部屋の中にあったのは、凍り付けられた人。
よく死に神に似ている。
「・・・・・・私も、いつかここから抜け出したい。」
笑いながら死に神は泣いていた。
「賢吾ォッ!!逃げろ!!」
追いかけてくる敵を撃ち落としながら俺は賢吾という仲間に呼びかける。
「 !!でもお前は・・・!!」
「生きてたら、会おうぜ!」
俺がそう言うと、賢吾は一瞬泣きそうな顔をし、瞳に迷いを見せたが、しっかりと瞳を据えると頷いた。
「・・・ッ!絶対だからな!!生きて帰って来いよ!!」
賢吾が走り去る中、俺の視界は目の前に広がる爆弾の山。
明らかに1人では解除しきれない量が設置されていた。
その爆弾に向かいひたすら銃弾を打ち込み、爆弾の時間を止める。
打ち続けることで減る銃弾。
リロード時間も惜しいため服のしたから次々に予備の銃を取り出しては使いきり、投げ捨てる。
そして最後はレーザーガン。
そいつで最後のひとつを打ち抜こうとした瞬間、視界は赤々と染まった。
『・・・死んだのか?お前・・・・・・。』
まだかすかに息がある俺にシェリルが呼びかける。
もちろん聞こえているはずなんかないのだけれど。
『・・・・・・殺さなければ、俺は殺られる。だから、引き金を引いたんだ。』
そう言って俺が使っていた拳銃を拾い上げ、じっくりと見ていた。
『けれど・・・本当はどこかで死にたい。そう思っていた。それは、お前もだろう?』
そう。俺も死にたいと思った。
どうして俺が、人を殺さなければいけないのか、組織に入った頃は考えもしなかったけれど。
今思うと、理由が分からなくて、混乱していた。
人を殺すことに罪悪感を覚えなかった今までの俺が不思議でたまらなかった。
『だから、俺はお前を、殺したんだ。』
そう言いながら、シェリルは自分のこめかみに銃を突きつける。
『でも死にたいのはお前だけじゃない。俺もだ。』
「俺の罪悪感や残忍性から君は生まれたんだね・・・ごめんね。シェリルも苦しかったんだね・・・。」
紫の蝋燭は消えていった。
「さて、最後にカイトの黄色の蝋燭ですが。」
死に神が黄色の蝋燭を持ち、俺に言う。
「カイトに罪の記憶はありません。」
「・・・どうして?」
「カイトは、貴方が生まれる前の記憶の一部。純粋でまっさらなままの貴方の記憶。いわば、何も記録されていないメモリーカードのような状態です。」
そういわれて、そっと手渡される黄色の蝋燭。
生まれる前の記憶だから、特に俺の記憶もカイトの記憶も再生されることなく、蝋燭が消えた。
――貴方、私子供を授かったの――
――そうか!よくやった!!――
――それでね、名前を決めようと思うの――
――予定日は?――
――予定日は春・・・だから・・・この子の名前は・・・――
「俺の名前は・・・春。」
室内が万華鏡のようにキラキラと輝き変わる。
気がつけば、死に神の書斎だろうと思われる場所に俺と死に神、カイト。
そして、シェリルたちが並んでいた。
「・・・これで晴れて貴方の記憶は繋がった。残忍性から生まれたシェリル。それは貴方の剣。」
「虚無感から生まれたウェルダー。それは貴方を守るための盾。」
「強制された学問から生まれたノエル。それは貴方の知識。」
「生まれる前の貴方から生まれたカイト。それは貴方の道標。」
一言ひとことを区切りながら死に神は言う。
その言葉に1人ひとりしっかりと春を見る。
「貴方の名前は、春。これで、貴方は死亡証明書が受け取れる。」
死亡証明書に俺の名前を書き、卒業証書のように筒に入れられたそれを差し出された。
これを受け取ってしまえば、俺は生を再び受けるために、再生へと向うことになる。
でも・・・
「なぁ・・・これを受け取ったら・・・シェリルたちはどうなるんだ?」
俺の質問に俺以外の皆がきょとんとした表情でいた。
しばらく死に神は黙っていたが、一言
「消滅します。」
と、言った。
「・・・・・・それって、何か・・・おかしくないか。」
「何を言っているのです?所詮彼らは貴方の記憶の一部が具現化したようなもの。次に生を受けるときにはもう不必要なものです。」
「記憶ってさ。無いと駄目だって言ったの・・・そっちだろ・・・?せっかく集めた記憶なんだぜ?なのに、不必要って何?そりゃあ、次の生を受けたときに、人を殺してきた記憶とか、薬漬けされた記憶とかいらないよ。ずっと過去の記憶に悩まされて、苦痛かもしれない。けれど・・・彼らにだって・・・元々は俺かもしれないけれど、ここに存在してるんだ・・・1人の、存在として。」
俺の言葉にシェリルたちが目を見開く。
「記憶の欠片を集める中、俺のことを必死になって守ってくれた・・・それでも・・・不要?不要なんかじゃないよ!!俺にとっては大切な仲間なんだよ!そんな仲間を消滅の一言で片付けるなよ!!!」
俺は死に神の手から死亡証明書を叩き落した。
まさか払われてしまうとは思ってもいなかったのか、死に神は驚いた様子で、どうすればいいのか分からないといった感じだ。
「所詮死に神さんは、魂が早く片付けばいいなってしか思っていないんだな。」
「・・・・・・そういわれると、返す言葉もありません。それが死に神の仕事なので・・・。」
今まで無表情か微笑しか浮かべていなかった死に神の表情が不安と迷いの色に染まっていく。
でも声は落ち着いたままで喋り続ける。
・・・もしかして、この死に神は・・・――
「・・・アンタ、もしかして、自分の感情が分からないのか?」
俺の問いかけに死に神は理解できていないようで首をかしげる。
「感情・・・?」
「そうか。アンタには感情が分からないんだな。」
そう言って死に神を抱き寄せる。
突然の俺の行動に死に神は戸惑いを隠せず、困惑の表情を見せる。
「意味を理解できないのですが。」
「・・・いいよ。別に理解してくれなくても。でもさ、俺はいつかアンタが感情を理解してくれればいいと思う。」
可哀想。この死に神は自分のことすらわかっていなかったのに、俺たち魂を導き続けてたんだな・・・。
でも、この死に神は俺の記憶の一部じゃない。
だから、死に神のことを知ることができない。
「・・・春・・・貴方は死亡証明書を受け取らない・・・それでいいのですね・・・?」
「ああ。構わない。」
「・・・受け取らないということは、二度と生を受けることは出来ないのですよ。」
「・・・構わない。俺は、皆と一緒にいられるなら。それで。」
シェリルたちも死に神を囲むようにして自らの死亡証明書を死に神へと返した。
「こんな私でも、シンは必要としてくれる。」
「俺だって、シンと分かれたくない。」
「自分・・・もう会えない・・・寂しい。」
「やっと出会えた私。沢山私とおしゃべりをしたい。」
シェリル、ウェルダー、ノエル、カイトの順にそう言うと、俺のほうへと下がる。
死に神は受け取ってもらえなかった死亡証明書を拾い上げると、テーブルの上に乗せた。
「・・・ならば、お行きなさい。私には、もう・・・貴方たちを導く必要はないですから・・・。」
何処か寂しげに言う死に神。
それを俺は見逃さなかった。
そして俺たちは再生の望まず、輪廻の輪から出て行った。
UGに1人残された死に神。
助手であったカイトすら鋳なくなった今、本当の意味で1人になった。
「・・・・・・私も貴方たちのようでありたかった。」
死に神が書斎の本棚の後ろにある隠し部屋を開いて、そこにあるものを見る。
部屋の中にあったのは、凍り付けられた人。
よく死に神に似ている。
「・・・・・・私も、いつかここから抜け出したい。」
笑いながら死に神は泣いていた。