5個目の夢 7 | PLUTO KISS

5個目の夢 7

視点はシンへと戻る。


物凄い激痛で、気がつくと、視界には星空が広がった。

ここは何処だ・・・?

身体が重い・・・動かない。

首だけは動かせるようで、自分の首を動かして、周りの状況を確認しようと、横を見れば、自分の手が鋼鉄で貼り付けられていた。

足にも冷たいものがある。恐らくこちらも鋼鉄で拘束されているのかもしれない。

ここまで有り得ないことが起こると、頭もそこまでパニックには陥らないな・・・。

「お目覚めですか?白神様。でも、もうすぐおやすみになられる時間ですから。」

そう声が聞こえたほうへ視線を向けると。松明を片手に微笑む村人が1人、そこにいた。

無理矢理首を起され、自分では見えなかった足元のほうの景色を見せられる。

そこには、村中の人々が集まり、こちらを崇めるように祈りを捧げ、地面に頭をつけて、念仏らしきものを唱えている。

彼らの前には細長い木箱が数百という数置かれている。

「白神様を崇める村人たち、そしてその家族の一員であった死者たち。彼らは一刻も早く死者を呼び戻すことを望んでいる。」

「・・・・・・俺に・・・早く・・・死ねって・・・ことか・・・。」

「貴方からあふれ出たこの血液。これを飲んだ子が、次の白神様になる・・・。」

村人がグラスに入れている赤い液体はどうやら俺の血液らしい。

そんな並々と注ぎやがって・・・どうりで身体が思うように動かないわけだ。

隣ですすり泣く声。

そこには、俺と同じように拘束された2人の女の子の子供がいた。

まさか・・・この2人が楓と薫のように・・・?

ボロボロと泣きながら、決して2人は手を離さずに、母親の名前だと思われる名前を叫んでいた。

助けて。助けて、と。

「・・・なか・・・ないで・・・。」

息も絶え絶えに声をかけてやると、2人は不思議そうにこちらを見ていたが、恐る恐る声をかけてきた。

「白神様、痛いの?」

「白神様、死んじゃうの?」

こんな純粋で優しい子を生贄に捧げるなんて。この村はどうにかしている。

「うん・・・痛いよ・・・・・・死ぬ・・・のかな・・・・・・でも、・・・大丈夫・・・俺、君たちを、絶対、に・・・しなせ・・・ない・・・。」

言い終えると同時に、俺のほうに近い女の子が手を掴んできた。

「白神様。1人じゃないよ。私たちも、一緒だよ。」

「・・・・・・うん、・・・ありが・・・と・・・。」

視界が霞みかけてきた中、祭と証した儀式が始まった。

「100年に1回のこの祭・・・いよいよ私たちは死者を蘇らせることが出来る。ここに2人の子供を生贄にささげ、村の繁栄のために犠牲になってもらう。しかし、その前に子供たちが死ぬ前にこれを飲んでもらい、白神様の能力を引き継いでもらうための継承の儀式を行う。」

幹事らしき者がそう言うと、村人は凶器を片手に狂ったように歓声を上げる。

グラスに注がれた俺の血液を二つのグラスに注ぎ分けると、そのまま2人の女の子に近づき、飲ませようと、無理矢理口を開かせようとする。

嫌がる2人にお構いなしに、口の中へ流し込もうとグラスを傾けた。

・・・が、村人の手からグラスは消えてしまっていた。

「な・・・?!」

突然消えてしまったグラスに驚きを隠せない村人は辺りを見渡す。

「・・・・・・愚か・・・神・・・なれない。」

村人の背後にグラスを奪い取ったノエルがいた。

「ノエル・・・。」

「シン・・・助ける。」

ノエルは剣で俺と、2人の女の子の拘束を放つと、3人を背後に庇うように村人に剣を向けて立つ。

「白神様と生贄を・・・許さない!!」

怒りだし、ノエルに襲い掛かる村人たち。

刹那、強風と大地を切り刻む音が辺りに響いた。







「貴様にシンを渡す気はない。」

「・・・・・・。」





何処か様子のおかしいシェリルとウェルダーが現われた。

血まみれのシェリルにも驚いたが、視点が合わず、ぶつぶつ何かを呟くウェルダーの様子にも異常を感じていた、その時、きちんと2人を止めていれば。

きっと、あんなことにはならなかったんだ。


シェリルは、いつ動いているのか分からないほど見えない速さで動き、次々と村人を倒していく。

まるで、本当に風のようだった。

彼が通った後には屍しか残っていない。

一方でウェルダーもチェーンソーを振り回し、跡形もなく村人を切り捨てていった。

ものの数秒で、辺り一面血の海となった。




「・・・全部、消えたの?」

「もう、大丈夫、なの?」

何も無くなった村の状況を見て、2人の女の子が呟いた。

それに対して、俺は頷くことも、声を返すことも出来なかった。

変わりに、ノエルが頷いていた。

それをみて、女の子たちは微笑んで消えてしまった。



「どうして・・・こう・・・なった・・・?」






・・・リンッ・・・





俺の呟きの後に、鈴の音が響いた。

カラカラと音を立てる風車の音。

伏せていた視線を上げれば、楓と薫がいた。

「・・・ありがとう。」

「全部・・・全部消してくれてありがとう。」

そう言って、2人は手を繋いで蛍の光のように消えてしまった。

そこに残されたのは黒と赤の風車。

俺はそれを拾い上げ、ただ、何処か虚無感を抱えた心を何処へぶつければいいのか分からなくなっていた。

「・・・シェリル・・・ウェルダー・・・。君たちは、もう・・・壊れてしまったの・・・?」

非難するような視線を向けると、シェリルとウェルダーは共に、複雑な表情をしていた。

2人は何も答えない。

変わりに、ノエルの声が耳に入った。

「神の化身・・・首飾り、壊れる・・・不安定な状態・・・本来の姿。」

首飾りが壊れる。

その単語に俺は2人の首元をみた。

共に首飾りが壊れていた。

「私たちはそもそも人の心の一部から生まれた存在。人間のようにコントロールができない。制御するための道具として、首飾りがある。それが、我々、神の化身。」

だからって・・・不安定だからって・・・ここまですること・・・。

「・・・俺には・・・分からない・・・分からないよ!!!!!!!!!!!!!!」
















     『それでも、ここで生きていくには、お前たちは引き金を引かなければならない。』

     『死にたくないなら引き金を引け。それが嫌なら・・・お前は―――』







































「神の化身・・・それは、人間の感情の中から生まれる、実に不安定な存在。」

「カイト、1つだけ貴方に言わなければいけないことがあるのです。」

1人神の化身について調べていたカイトに、休憩していた死に神が窓辺に腰かけ、外を眺めながら言う。

カイトが、そちらへ視線を向け、はい。とだけ短く答えると、死に神は一言。






「私たちも、人の感情の中から生まれた存在なんです。」











そういった。