5個目の夢 2 | PLUTO KISS

5個目の夢 2

村人に無理矢理連れられてきたのは村一番の家だった。

村民の住宅は昭和の雰囲気漂う日本住宅なのに、この屋敷だけは西洋住宅なのにはちょっと疑問。

屋敷の中へと連れてこられると、明治時代の雰囲気が漂う室内で、衣裳部屋へと通されると、俺とシェリルは着物に着せ替えられた。

俺は白地に赤いなんか・・・花が咲き乱れるもの。シェリルは薄紫の生地に藍色の蛇が泳いでいるもの。

「シェリル、格好いいよ。」

「マスターは女の子みたいですね。」

「ん?なんだって?殴るよ?殴っちゃうよ?俺の鉄槌はいたいぞぉ♪」

あまり穏やかではない会話をしながら椅子に腰掛けて呆然としていると、1人の村人がお茶と和菓子を俺たちの目の前にこれでもかっ!!ってくらいに置いて、ニコニコしながら下がっていった。

「あの、おじさん。ちょっといいかな。」

「はい、何でしょう。白神様。」

「・・・あの、何で俺たちここに連れてこられたのかな?全く状況が掴めないんだけど・・・。」

俺がそう聞くと、おじさんは丁寧に説明してくれた。

その昔のこの村では、白神と呼ばれる神様と若紫と呼ばれる神様がいたという。

白神様には死んだ者の魂を呼び出し、会話をする能力があるらしい。

そのため、白神様の祠へと死者の遺体を運び、その魂を預かってもらい、時折死者との会話をさせてもらうことを約束してもらったという説があるらしい。

でも、いつからか、白神様が祠から消えてしまった。

それでもなお、今でもその信仰は熱く、死者が出た際には祠へと遺体を運んでいるそうだ。

若紫様については、その昔、村に若菜と呼ばれる少年が1人いたそうだ。

その少年は村で起きた少女神隠し事件の際、それが妖怪の仕業であると気がつき、勇敢にも妖怪に剣1つで立ち向かい、妖怪を倒し、少女たちを救出したとされる。

だが、妖怪を倒した際に呪いに掛かり、若菜は半妖怪となってしまった。

その姿を見た八百万の神々が可哀想に思い、人間に戻すことが出来ない代わりに、神様に変えた。

その神様の姿になった若菜を神々が若紫を名づけ、以後若紫は守護神として人々から崇められたとされているらしい。

「では、ごゆっくりと。」

村人が室内から去ると、俺とシェリルだけになり、静寂がやってきた。

シェリルは和菓子を不思議そうにみている。

「食べたら?」

「小さな魚ですね・・・でも生は・・・。」

そう言ってシェリルが突いていたのは、京菓子の魚だった。

まさかそれを本物の魚と思っているとは・・・。

流石に笑うしかなかった。

それをお菓子だと説明してやると、恐る恐ると口にして、嬉しそうな顔をした。

シェリルは京菓子が好きということが判明した瞬間だった。

(さて、ウェルダーとノエルを探したいんだけど・・・。)

窓から外を様子を伺うと、入口付近には村民が数名見張りをしているようだ。

これではここからは出られそうにない。

仕方ないな・・・。

「しばらく出られそうにないね・・・もう少し様子を見てからにしよう。それまでちょっと休むね。」

「はい。マスター。」

俺は隣の部屋に備え付けられた寝室で夢の世界へと落ちることにした。







   『賢吾ォッ!!逃げろ!!』

   『   !!でもお前は・・・!!』

   『生きてたら、会おうぜ!』

   『・・・ッ!絶対だからな!!生きて帰って来いよ!!』

   賢吾という人物が走り去る中、俺の視界は目の前に広がる爆弾の山。

   明らかに1人では解除しきれない量が設置されていた。

   その爆弾に向かいひたすら銃弾を打ち込み、爆弾の時間を止める。

   打ち続けることで減る銃弾。

   リロード時間も惜しいため服のしたから次々に予備の銃を取り出しては使いきり、投げ捨てる。

   そして最後はレーザーガン。

   そいつで最後のひとつを打ち抜こうとした瞬間、視界は赤々と染まった。

   


「・・・ぁぁあああッ!!!」

息切れが激しい。どうしてこんなに苦しいの?

今のは何?

「訳分かんない・・・なんなんだよ・・・。」

ため息と共にうな垂れながら背中からベッドへ落ちたつもりが、なにやら硬いものが背中に当たった。

俺ってベッドで寝てたはずなんだけどな・・・。

そう思いながら振り返ると、そこにベッドなんかなく、よく見渡せば、ここは岩肌のむき出した薄暗い場所だった。

よく見れば、奥のほうには蝋燭がたくさん立てられていて、炎が足元にある何かを照らしていた。

木の箱?だろうか。暗くてよくわからない。

「出口何処・・・?ここなんだか息苦しい。」

光の刺すほうへと歩みを進めると、外に緑が見えた。

しかし・・・

「なっ・・・柵?!」

何故か牢獄のように柵があった。ご丁寧にも逃げられないように南京錠つきだ。

「おい!誰か!!!誰かいないのか!!」

どんなに叫んでも誰も呼びかけに答えてくれない。

「シェリル!!ウェルダー!!ノエル!!誰かぁぁぁあああああ!!!」

叫び続けること数時間。

柵の向こうの空はもう橙に闇を刺し始めた。

叫び続けた俺の喉は枯れてしまい、もう声が出ない。

疲れてしまい、俺はその場に座り込んで考える。

何故こんな場所に罪人のように囚われないといけないのか。

どうして誰も助けてくれないのか。

昔にもこんなことが・・・。

「え・・・昔って何時のことだ?俺、何時こんなことがあった?」

思い出そうとすると、何処かで拒絶する脳。

どうして?


「どうして?」



俺しかいない暗闇の中、寂しく反響した。